元東広島市消防団副団長の松本篤雄さん(70)は、20歳で高屋町消防団に入団。その後42年間にわたり、消防団員として地域の防災に尽力した。(山北)
消防団は、常勤の消防職員が勤務する消防署とは異なり、火災や災害発生時に自宅や職場から現場へ駆け付け、消火活動や救助活動を行う非常勤特別職の地方公務員。松本さんは団員として、火災が起きると火災現場に駆け付け、消火栓などから消防ポンプで消防隊員の消防車へ水を送り続けるなど、消火活動を後方から支援した。
いつ起こるか分からない火災や災害に、夜もゆっくり眠れないことや夜の消火活動では足元が見えず、田んぼに足が埋まったこともあったという。
消防団の活動を通じて、多くの人を知り仲間ができたことを喜ぶ。仕事や家庭との両立は大変なこともあったが、「地域の人から感謝されたことが励みになった42年間だった」と振り返る。
60歳で副団長に任命され2年間務め、「常に消防団員一人一人の安全を考え、気を配った」と話す。自身の経験から、後輩には、「チームワークを大切に、自分の安全を確保して消火活動をしてほしい」と願う。
昨年の秋の叙勲では、公務などに長年にわたり従事した人に贈られる「瑞宝単光章(ずいほうたんこうしょう)」 を受章した。仕事に就きながらの消防団活動に、「勤務していた東広島市役所や家族の理解や協力があっての受章。頑張った証かな」と目を細めた。
まつもと・とくお 1951年生まれ。東広島市高屋町在住。70年に高屋町役場に就職。72年に同町消防団入団。74年に合併により東広島市役所に勤務、同市消防団入団。92年に同市消防団班長。99年に同部長。2005年に同分団長。12年に同副団長。14年に同市消防団退職。09年に消防庁長官表彰、13年に日本消防協会表彰精績章受章、21年に瑞宝単光章受章。