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メルボ紳士服工業㈱ 広島工場

  • 2023/05/31

日本屈指のオーダーメード縫製工場 ファクトリーブランドも開発

先進技術と人の手を融合
真心を込めてその人に一番似合う服を

▲2階から1階へと生産ラインが組まれ、各フロアにミシンやアイロンが整然と並ぶ。ラインに流れるボックスの色で進行状況が誰でも確認できる

 海外の高級スーツを手掛けてきた「メルボ紳士服工業㈱広島工場」から、ファクトリーブランド「安芸上着(あきうわぎ)」が誕生。立体的でありながらも着心地は軽やか。この2つの魅力を両立させた同社の仕事を取材した。

日本屈指の縫製工場

 同社は1972年、メルボ紳士服の自社縫製工場として創業し、ヨーロッパの超一流ブランドの縫製を手掛ける。また、グループ会社が展開する「麻布テーラー」などのオーダースーツ縫製工場として、半世紀にわたって伝統と技術を継承している。滋賀の縫製工場と合わせて年間10万着ものスーツを作る。工業生産化されたオーダーメードスーツ工場として日本屈指だ。

 生地の裁断は機械で精密に裁断する。一方で、柄のある生地や細かいパーツなどの場合は人の手で丁寧に裁断する。縫製では各工程でアイロンとミシンを繰り返し、数ミリ単位の調整をしながら立体的なシルエットに組み上げていく。最終工程では、特殊なプレスマシンで上着全体に膨らみを持たせた後、人の手で細かくアイロンをかけて仕上げる。“人の手”がなければ、同社の服作りは成り立たない。

和田弘士さん
総務課 マネジャー
 真心を込めた服作りを信条としています。ものづくりに興味のある方をお待ちしています。ミシンの経験は問いません。ミシンを使わない仕事もありますのでお問い合わせください。

経験と技術の集大成
オリジナル「安芸上着」

 そんな広島工場が、自社工場で開発したファクトリーブランド「安芸上着」を誕生させた。伝統的な仕立てで、「着ているときに美しい」形を目指している。

 生地は生地メーカーと共同開発したもので、ウール100%の国産素材を使用。日本では数少ない英国の伝統的なプレス製法で、ウール本来の強いハリ・コシに加えて美しい光沢を実現した。美しい形を支えるのは、肩から裾まで前身頃をカバーする総毛芯。着心地が硬くならないように、毛芯や内部附属は軽量のものを選んだ。こうして、しっかりとしたシルエットで軽やかという2つの魅力を実現している。

 さらに、襟のダブルステッチや内ポケットの仕上げ(剣台場)が、シンプルなデザインに深みを持たせている。同社のこだわりが随所にちりばめられ、経験と技術力の集大成といえる一着だ。

 現在は返礼品として数量限定で生産。色はネイビー、サイズは44、46、48、50、価格は45000円(税別)~。今後は工場セールなどで、パターンオーダーで販売していく予定だ。

 時代の流れに沿って工業生産化を進めるなど、変化することで生き残りを図ってきた同社。「一着一着を丁寧に」という方針は変わらない。2017年に工場を全面改装、従業員の働きやすい環境を整えた。新規採用にも積極的に取り組む方針で、福原幸雄工場長は「裁断、ミシン縫製、検品、納品管理など全ての工程で人の手が欠かせません。お客さまにとって一番似合う服を届けていきたい」と話す。この工場なら、ものづくりの楽しさとやりがいを日々感じることができるはずだ。

▲上質感を表現する光沢のある表地「グランマーキー」を採用。襟はクラシックテイストのセミノッチ型
▲工場に生地をストックし、あらゆるオーダーに迅速に対応する
▲表地を内ポケットの周りにまで使った剣台場仕様。見えない部分にも昔ながらのディテールを取り入れている。ポケットの補強にも
▲データ上で型紙を作り、プロジェクターで生地に映して機械で裁断。人間の手を介さないので裁断ミスが発生しない(写真上)。数枚の布を重ね、刃型を使って裁断する。寸法に狂いがないように裁断するのは、簡単そうに見えて熟練の技(写真下)


求人案内

■内容/月給・時給・報酬
①ミシン縫製作業/月給15万6000円~18万円
②伝票入力・検品・納期管理など/月給15万6000円~18万円
③裁断用PCオペレーター・生地裁断/月給15万6000円~18万円
④まつり縫い(まとめ作業・内職)/完全出来高制


メルボ紳士服工業株式会社広島工場

東広島市高屋町大畠391
082-434-1211
営業時間/8:00~17:00
定休日/日曜日(年間休日114日)、お盆、年末年始連休あり

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