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(SUN)

 第15回 黒田の助言によって復活へ力強さを取り戻した永川投手

  • 2023/08/09
腹八分投球で復活を図る永川投手 左は佐々岡コーチ

 開幕まであと一週間余り。カープも本番へ向けて最終調整へ。開幕ベンチ入りを目指す選手の中で、今回は「今シーズンに選手生命を賭ける」かつての〝セーブ王〟永川勝浩投手(35)にスポットを当てた。

 キャンプ期間中のある一日。永川は黒田の指名で新井、石原らと夕食を共にした。2軍の宿舎から駆け付けた永川へ、黒田が声をかけた。「お前がここ(1軍)にいないのは寂しいよ。始まったら(開幕戦)必ず一緒にやろう」緊張した面持ちで耳を傾けた永川は軽度の右ヒジ痛が原因で2軍スタートになった。

 「力強い言葉をもらった。もっと厳しく自分を見つめ直してみようと思った」あの日から永川は今季が最後のシーズンと決意した。右ヒジの状態は回復した。キャンプ終盤は「これまで力任せに投げていたフォームを、少し力を抜き〝8分投法〟にしたら、腕の振りもスムーズになり、自分が変わったように思えた」と模索した中から黒田の助言も意識改革を生んだ。球威も戻りストレート、カットボール、フォーク、スライダー。変化球のキレと制球がよみがえって来た。倉捕手兼任コーチは「リリースポイントの強さが戻って来た。悪い時は腕を振って投げていなかったから、投げる瞬間のポイントがバラバラになっていた。今年は本人も瀬戸際と認識しているのだろう。性根が入っている。結果を出すのが楽しみだ」と捕手の眼は、永川の復活を予言し た。

 プロ14年目。クローザーとして2008年に38セーブ、2009年が36セーブ。球団最多の150セーブ(通算165セーブ)をマーク。150キロの快速球に伝家の宝刀フォークボールを引っ下げて、終回(9回)をピシャリと封じ込んだ。しかしそのイメージは忘れ去られようとしている。ここ4、5年の永川は右ヒジの故障などで1シーズンを満足に過ごしていない。昨年はやや登板数が増えて26試合に1勝1敗。

 「ヒジの違和感もなくなり、今年がダメならという気持ちもある。決して悲壮感ではない。できればクロさん(黒田)のあとを投げてみたい」と真剣そのものだった。何年ぶりかに記者に熱っぽく語ってくれた永川に贈りたい一言。『昔の名前で出ています』から新しい永川でさらなる飛躍を期待したい。


プレスネット2016年3月12日号掲載

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