FM東広島・毎週火曜日午後6時台に放送している『DOGENSURU NIGHT』内のコーナー『喫茶897』では、東広島の企業・団体の方にお越しいただき、いろいろなお話を伺っています。
第40回のお客様は、東広島で総合葬祭業をおこなっているAiFitグループさいき葬祭、代表取締役の柚木力(ゆずき ちから)さん。新しい葬儀の形や忘れてはならない型や気持ちなどさまざまなお話うかがいました。
変わる葬儀の形、変わらない葬儀の型
ー AiFitグループさいき葬祭の事業内容を教えてください。
名前の通り葬儀屋さんですね。家族葬・福祉葬から社葬までやっていまして、近年ではプロジェクションマッピング葬とか供養の散骨などおこなっています。
また、2024年6月からはペット葬祭を始めています。
— 散骨について詳しく教えてください。
墓じまいの方や最後に自然に返して欲しいという遺言を残していた方におこなってます。
海もそうですし、あとウチは湯布院に山を持っていまして、そこで自然葬という形で、極楽浄土や西方浄土と言ったりしますがやはり西の方角に向かって、自然へと帰してあげたいということで購入しました。
— ペット葬についても教えて下さい。
今、ペット葬を意識されている方がものすごく多いですね。正直、人間の相談よりもペットのご相談が多くて、毎日何件もあります。先日も実際にやすらぎ会館でペットのお葬式をさせていただきました。
トイプードルの子だったんですけど、家族全員で大粒の涙を流されていました。娘さんはどうしても事情があって来られなかったんですね。それでお父さんが携帯電話でずっと中継していて、娘さんも画面越しに泣きながら見送って、みんなでお別れをちゃんとしてあげられて、本当によいことが出来たんじゃないかなと。必要とされる方は多いと思うので、これからも頑張ろうと思っています。
ペットは家族というキャッチフレーズを謳っていますけど、ペットは家族以上なのかなと感じる瞬間もあります。
— 葬儀の形や葬儀に対する人のスタンスは社会として変わってきていたりするんでしょうか。
僕らの仕事と言うのが型をもって型を破る仕事なんですよ。昔から「守破離」、守る・破る・離れる、という茶道の言葉があるんです。
守るといえば、師匠にあたる人の教えだったり、流派の型、つまり、基本ですね。
破るとなると、基本が出来た人がいいものを取り入れてやっていくということですね。
そして、離、離れるというのは、全部出来た人が最後に自分の独自のものを作り出す、ということなんですが、今葬儀がその段階に来ていると思っていますね。
守らないといけない部分は、儀式である部分や宗教的な部分ですね。
破っていかないといけないのは生活環境とかみんなそれぞれ家族の形が変わっているということに適応していかないといけない。ここはこうしなさいああしなさいと決めつける葬儀屋さんじゃダメなんだろうなと思いますね。
時代に適応、また、先読みする力が必要になってくると思います。
葬儀を望む思いと葬儀を創る思い
ー お仕事をしていて何か印象に残っている出来事や嬉しかった思い出はありますか。
2つお話したいことがあります。
1つは、3年前からさけまつりで全国おもしろ遺言選手権という大会をおこなっています。1回で50人以上参加してくれているんです。その第一回大会の優勝者が去年また来てくださって、ウチの社歌を作ったから披露しに来たんだと。あれは嬉しかったですね。YouTubeにも挙げているので是非探してもらえたら。
もう1つは、私がこの仕事に就いたばかりの時の話になります。
私が今25年目なんですが当時の私がこの仕事に就いて2年目ぐらいの時に、とある3姉妹の方から話を受けまして。その3姉妹のお母さんが癌になって本当に危ないと。それで、お母さんが華やかな性格だったから祭壇も豪華な綺麗な白いお花で埋め尽くしてあげたいと言われたんですね。
そういう相談でいろんなところに行かれたみたいなんですけど、その時3姉妹が用意できたお金では金額的に厳しいと言われたそうなんですね。
でも、お母さんの葬儀だからしっかりやってあげたいんだと。お返しに渡すものもお母さんがフルーツ好きだったから八朔にしてほしいとかとにかくいい形でお見送りしたいんだといろいろ回ってみたそうなんです。
それで、紹介を受けてウチにも来て、私が話を聞いたんですが原価でやっても厳しいんじゃないかという計算でした。私は当時の先代に「こういう理由でこんな風に言われているんですけどどうしましょう」と相談したんですね。
すると先代は、「あんたがわしんとこ相談くるってことはやってあげたいんじゃろうが。やってみんさい」と言ってくれました。
そこからは嵐のように忙しい日々が始まりました。
お母さんの為にやってあげたいことはいろいろあるけどどこかで削らなければならないので本当にいろいろと工夫して、結局、司会も自分でやったんです。でも、最後に喪主が挨拶する時に、私が大号泣してしまって……。
大号泣はしてしまいましたが、お母さんの為に盛大な式を望んでいたご家族の思いには応えられたかなと思います。ただ、それ以降私はマイクを持たないようにしています。どうしても感情移入しちゃうので。
そして、その葬儀が春だったんですが、夏にまた電話がかかってきまして。
「お母さんは信じている宗教がなかったから無宗教だという事で、箪笥の上にお母さんの骨と写真を置いて毎朝見るということを3カ月繰り返しているんだけど、無宗教でやっている以上は手を合わせるわけにもいかない線香あげるわけにもいかない。世間はお盆だけど、ウチのお母さんは箪笥の上にタオル敷いたままで、結局お母さんはどこに行くんでしょう」と言われたんですね。
その時に私の知り合いのお寺に頼んだんです。お盆にもうだまされたと思って一度お坊さんに来てもらって手を合わせてお経をあげてもらうだけしてみてください、姉妹だけでいいのでやってみてください、と伝えました。
そしたら、それが終わった後に電話がかかってきて、すっきりしました。お母さんがやっとあの世に行けた気がします、ありがとうございます、と言われたんです。
型を守る破るの話ではないですけど、お寺の力を借りてお母さんが成仏したと感じ心の整理がつくというのは一つの大切な型、儀式なんだなと思いました。
勉強にもなりましたし、感動もしたし、ありがとうございますとも言われて……あれが一番大きい経験ですね。
唯一地元の葬儀社で日本一の葬儀社
— 柚木さんの趣味やハマっている事はありますか。
好きだったことやハマっていたことは多いんですが、今はもう忙しくて……。
好きだったことはオートバイ、あとは福山雅治。こないだも親友とライブにいってきました。
これが私に福山雅治を好きにさせた悪い男でして、その人のせいでもうずっと好きですね(笑い)
あとは、前に出ていた森田さんが釣りが好きだと言っていたと思うんですけど、あの方が私の釣りの師匠です。
彼に騙されて竿から何から全部いいの買わされましてハマりまして、以前も二人で五島列島までクエを釣りに行きましたね。
— これからの目標やビジョンはありますか。
この間、高知の桂浜に社員旅行でいったんですが、そこで桂浜の砂浜に社員とみんなで100店舗作るという目標を書いてきたんです。なので、目標は100店舗ですね。
— 柚木さんがAiFitグループさいき葬祭を一言で表すとどういうところでしょうか。
10年ぐらい前、先代の頃までは日本で一番恵まれた葬儀社と言われていたんです。ライバルがいないということで。
ですが、2023年の12月に業界紙のリサーチ結果では今、日本で一番の激戦区となっているそうなんです。私が社長になった途端いろいろと大変なことがあったんですけど、今はシェアを回復してきてます。
そして、私はプラス思考なので日本で一番激戦区で一番シェアをとっている葬儀社であるならば、日本一の葬儀社じゃないかと勝手に思っています。
それと、ウチが77年目なんですが、東広島に本店が昔からあってという葬儀会社はウチしかいないんです。私が3代目になるんですが、葬儀会社として唯一の地元企業である以上、地元の皆さんの為にも頑張らないとなとも思っています。
— メッセージをお願いします。
謙虚に一つずつ頑張っていきたいと思っています。是非、地元の広島カープを応援するように地元東広島の葬儀会社として応援していただけたらと思いますのでよろしくお願い致します。
「感情移入しすぎて泣いて司会にならないからもうずっと司会はしてないですね」と語る柚木さん。一つ一つの思い出を表情豊かに話して下さる様子を見て、思い出や気持ちを本当に大切にされる方なんだなと心から思いました。また、たくさんのお別れを見送ってきた柚木さんが語る言葉に、自分自身の人生を大切にすると同時に後悔のないお別れが出来るように日々頑張る事とお別れの時の為に備えておきたいなと思いました。お別れの時は、多種多様な葬儀に応えてくれるさいき葬祭に相談してみてはいかがでしょうか。