高屋町白市にある豪商の面影
江戸時代の寛文5(1665)年に建てられた旧木原家住宅。西日本でも一、二を争うほど古い町家で、国の重要文化財に指定されている。
郷土史研究会の説明によれば、木原家は酒造業や瀬戸内海沿岸部の竹原で塩田業などを営んでいた。塩は当時の貴重な品であり、塩田業は大きな利益をもたらした。白市は竹原で製造した塩を中国地方の山間部へ届ける交通路だった。
座敷の位置が特徴的。一般的な町家では、座敷は奥まった場所に設けられることが多いが、木原家住宅では表通り側に配置されている。これは、商家の表玄関としての役割を果たしていたことを示している。
現在の出入り口は平面図=上=の大戸口にあたり、当時は奉公人用の出入り口であった。
また、2階に奉公人の寝所があり、はしごで上り下りをする。ことわざで「はしごを外す」という言葉は「孤立させる」という意味があるが、文字通り2階に上がりはしごを外されてしまうと、奉公人は降りることもできず2階で何もすることができない。そういった言葉の由来も旧木原家住宅では観察できる。
このほか、一般的な町家にはある格子窓がなく高窓が一つしかないことなど、ここでしか見られない特徴がある。
写真・文/徳原秀靖
旧木原家住宅
東広島市高屋町白市1046‐1
開館/10時~17時(12月~3月は16時閉館)
休館/月曜日、年末年始(12月28日~1月5日)
入場料/一般 150円(団体135円)
小・中・高校生(18歳以下)は無料