東広島市高屋町の折り紙作家・ハーレー静代さん(64)が3冊目の折り紙の本となる「折り紙から生まれるやっこつなぎの実用アイテム100」をこのほど刊行した。書籍は全国の書店で販売している。 (山北)
簡単に折れて脳活性化!
書籍には、折り紙の基本の「やっこ」をつないで作るマスクケースや、1カ月分のカラフルな薬入れ、小箱など、便利な100の実用アイテムを掲載している。折り図付きで折り方を分かりやすく解説し、バリエーションも豊富。やっこを折るという単純な指先運動で、脳を活性化しながら楽しめる、新感覚の折り紙本だという。
「やっこでどのような表現ができるか」というテーマで本の出版を準備。5カ月間で100の作品を創作した。創作活動は、集中するために家族が寝静まってから行った。やっこつなぎはつなぎ方で模様が違い、いろいろな形に変化するのが魅力で、折り紙を折りながらの創作活動が楽しいという。ハーレーさんは「やっこは、ざぶとん折りを裏返しながら3回折れば簡単にでき、パーツを組み合わせるだけなので、子どもから大人まで幅広い年齢層で楽しめる。何かを参考に自分の好きなようにアレンジして、オリジナルの折り紙を楽しんでほしい」と話している。
本で紹介した作品は、呉信用金庫高屋支店(同市高屋町杵原)の「30周年記念ロビー展」で展示される。期間は11月15日~12月17日。時間は平日・日曜日・祝日午前9時~午後3時。
ハーレー静代さんの作品
ハーレーさんと折り紙の出合いは・・・
ハーレーさんが折り紙に興味を持ったのは、子どもが幼稚園だったとき。子どもと一緒に遊べるものを探していたときに、たまたま日本折紙協会(東京都)の会員が制作した遊園地のブースを見て、「折り紙でこんなに表現ができるのか!」と驚いたことがきっかけになった。紙一枚で遊ぶことができ、お金もかからず種類も豊富で飽きない。集中力、色彩感覚、想像力を高める効果があると知り同協会に入会。「月刊おりがみ」を見ながら折り紙に熱中した。
米国出身の夫が出張で母国に勤務することになり家族で渡米したとき、子どもと一緒にコーンフレークの空き箱を土台に花畑やジュラシック・パークなどを折り紙で制作。米国人の家庭に招かれたときに、手土産として持っていくと「日本の造形文化はすごい!」と驚かれ、どんどん日本の伝統文化である折り紙の魅力にはまった。折り紙は、多くの国で「origami」という言葉が通用するほど世界に浸透しているという。
ハーレーさんは「折り紙はライフワーク。手先を動かすことが好きなので、暇さえあれば折っている。考えながら作るのがすごく楽しい」と顔をほころばせる。ハーレーさんの活動を長年傍で見守ってきた夫は「妻が楽しく人の役立つことをしているので、家族も幸せに暮らすことができている」と目を細める。
9月に呉信用金庫高屋支店(同市高屋町杵原)内で行われた「呉信用金庫創立96周年高屋支店合同ロビー展」には、「やっこ」をつなげて作るくす玉やつるし飾り、市の観光マスコットキャラクターの「のん太」のボトルキャップ、遊ぶ折り紙、カープの野球帽などさまざまな作品を掲げた。
季節を感じるように、と花のリースに、トンボや藍染めの和紙で作ったバッタなどの昆虫を置き、見て楽しめるように工夫した。
ハーレーさんは「折り紙は、できる! やりたい! という気持ちがあればどんなに難しくても折れる。コロナ禍の今だからこそ折り紙を役立て、いろいろな世界を広げてほしい」と話していた。