東広島市の地域おこし協力隊員として、広島大文学部4年の桜井紫さん(23)が3月1日、志和町に着任した。「学生たちを巻き込みながら、かやぶき民家の保全活動に取り組んでいきたい」と目を輝かせている。市の地域おこし協力隊員は、桜井さんで19人目。(日川)
「地域活動をしたい」と思うようになったのは大学2年のとき。大学の先生が志和町に住んでいたことが縁で、志和町を訪れた。目に飛び込んできたのは、里山の風景に溶け込みながら点在する、かやぶき屋根の民家だった。「初めて見る景色で、衝撃と感動が交錯。そのパノラマに魅了されました」。志和町で活動に取り組むきっかけになった。
大学3年になると、志和町内の古民家に住んで、シェアハウスを運営。地域の人たちと一緒にかやぶきに使うかやを集めたり、クラウドファンディング(CF)で、かやぶき屋根のふき替え作業資金をねん出したりする活動に取り組んだ。
最終学年を迎えると、就職することも考えたが、市のホームページで、志和町で地域おこし協力隊員を募集していることを知り、「地域活動を続けたい」と応募した。協力隊員の任期は3年間。「志和の人たちとの縁を大切にしていきながら、志和を人が集う地域にしていきたいし、休耕田の活用策も考えていきたい。もちろん、循環型社会を考えることにもつながる、かやぶき屋根を残す活動には全力投球です」。3年間の活動に思いをはせる。
千葉市で生まれ、幼少期から高校時代までを下関市などで過ごした。「志和町は、私が過ごした街と比べると、時間の流れがゆったりで、空も毎日違う顔をのぞかせている。私には、その風情が合っている」。すっかり志和町に魅了されているからだろう。3年後のことを尋ねると、「まだ分からないけど、志和町に住み続けたいという願望は強いかな、うん」。満面の笑みでうなずいた。