独自のメソッド(方法)を確立し、2020年9月から「hibrid tennis school」(ハイブリッド・テニススクール)を主宰する樋口哲也さん(29)。子どもたちからシニア世代まで、テニスの楽しさを伝えている。(日川)
テニスを始めたのは小学6年生のとき。テレビアニメ「テニスの王子様」を見て夢中になった。東広島市のテニスクラブでスキルを上げ、テニスの強豪校で知られる広陵高に進んだ。広陵高では、努力が実ってインターハイに出場。神戸学院大では主将としてチームを引っ張った。
プレーヤーとして、人とのつながりの大切さや、努力することの尊さ、テニスのだいご味などを知り、「テニスの魅力を、多くの人に伝えたい」とプレイヤーよりもコーチの道に歩むことを決意。大学卒業後、テニスクラブで3年間コーチングを行った後、2020年に独立、翌21年、「自分のコートを持ちたい」と、東広島運動公園(西条町田口)のそばに、ナイター照明付きのコート1面とクラブハウスを整備した。
現在のスクール生は160人。高校生以下のジュニアが40人、大人は120人で、子育てを終えた女性や、第一線を退いた年配の男性が多いという。
ジュニアには、それぞれのテニススタイルを尊重しながら、「考えて練習することの大切さ」を教える。考えることがスキルアップにつながる、との思いからだ。一方で、大人にはテニスの楽しさと、ケガを防止するための正しい体の使い方を伝えている。
テニスのだいご味を尋ねると、「誰にでも勝てるチャンスがあること。戦術が勝敗を左右するメンタルスポーツ」と即答する。「だからジュニアには主体性を求める。勝つために夢を追って、やりきった後の達成感や感動を味わってほしい」と目を細める。
コーチングからスクールの運営まで一人でこなす。160人のスクール生を見るため、コートには毎日、休む間もなく立ち続ける。「多額の借金をしてコートを整備したから(笑)。とにかく頑張らないと」。
当面の目標はスクールの10年継続で、その先にある景色は「今温めている」そうだ。