東広島市八本松南の「ないとう内科・糖尿病クリニック」院長の野村麻依子さん(38)。5月8日、両親が営む「さとう歯科医院」の2階に同クリニックを開業した。「歯周病と糖尿病とは深い関係があるので、歯科と連携しながら治療を進めていきたい」と話す。(山北)
医院名は「地域の皆さんの健康のサポートができるように、地域に根付いて貢献してほしい」と、今は亡き母方の祖父の思いを受けて「ないとう」の名字で開院した。
同クリニックは、一般内科だけではなく、糖尿病などの生活習慣病を専門的に診察する。スタッフは全員女性でアットホームな雰囲気のクリニックだ。診療当日に検査結果の説明が可能で、患者一人一人のライフスタイルに合わせた治療を提供し、健やかな生活が送れるようにサポートする。「検診で引っかかったら、放置しないで悪くなる前に受診してほしい」と話す。
野村さんは、中学2年の時に突然体調不良となり約1カ月間入院。当時、つらくて不安だったが、医師の適切な診断と治療を受けて治癒した経験が、人を助ける仕事に就きたいと医師を目指すきっかけになったという。
野村さんは、精神科医の夫と結婚。仕事と家事、育児と多忙を極めていたが「内科医として専門的な治療ができる女医でありたい」と、夫に協力してもらい、専門医の試験勉強に集中した。
長女が2歳で次女を妊娠中であったが、家族で東京に行き「糖尿病専門医」と「総合内科専門医」の試験を受けどちらとも合格した。東広島市で、両方の専門医は2人しかいないという。当時を振り返り「夫や両親、妹など多くの人に助けられ、子どもたちもよく理解してくれたので合格できた」と感謝する。
野村さんは「生まれ育った八本松で、私を育ててくれた地域の人の悩みや相談が気軽にできる『赤ひげ女医』を目指したい」と目を輝かせる。