東広島市は10月1日、同市福富町で活動する「地域おこし協力隊」に京都府から移住した生野佑二さん(38)を任命した。今後、市や地域などと連携しながら地域の活性化に向けた仕組みづくりや自立を目指した事業に取り組む。任期は最長で3年間。(山北)
生野さんは、元幹部自衛官で自衛隊に約14年間勤務。広報室長として、自衛隊を多くの人に理解し親しんでもらおうと、地域との交流を深める仕事にまい進してきた。次第に一度しかない人生、新たな可能性に挑戦したいと思うようになり、自衛隊を退職。「社会貢献ができる仕事に就きたい」と全国の地域おこし協力隊の募集を探す中で、福富町に一番の魅力を感じ、市のバックアップも手厚かったので応募した。
生野さんは、東広島市を訪れる前に心機一転、呉市広町の「白糸の滝」で滝行。禅師の言葉で、今まで積み上げた仕事などに執着せず、新たな分野にゼロから挑戦する「放てば手に満てり」の精神で、気持ちを切り替えた。辞令を受け取った生野さんは、「身の引き締まる思い。地域住民と協力して福富町を盛り上げたい」とすがすがしい表情を見せた。
9月下旬に福富町久芳に転居。朝、目覚めて大自然の中を散歩した時に「いい環境だな」とロケーションに感動したという。自衛隊という枠組みの中で仕事をしてきた生野さん。これからは、自分のやりたい活動が自分らしくできる喜びをかみ締めながら、「挑戦しようと決めたその日が青春」と亡き祖母が言っていた言葉を思い出し、顔をほころばす。
今後は「自衛隊勤務の経験から得た防災とPR能力を生かし、防災ワークショップを企画するなど広く防災意識の普及を図り、一人一人の防災意識やコミュニティーの強化につなげたい」と目を輝かす。
市では、2016年度から同協力隊を導入し10月1日現在、5人が在籍し活動。卒業した隊員のうち、12人が定住し地域とのかかわりを継続している。