家や建築に関するさまざまな話題をシリーズでお届けします
全12回シリーズの最後は、コラムを執筆した栁河元木社長のインタビュー。仕事との向き合い方などについて聞きました。
「もっといい知恵はないか」信頼をいい仕事で返したい
仕事は人間力
1974年、東広島市生まれ、東広島市育ち。工業高校では測量やものづくりの実習が好きでした。地元での就職を考えたときに弊社の前身である大江設計事務所を紹介され、「設計事務所の仕事は面白そう」という漠然とした理由で入社しました。
当時は平成不況でしたが、東広島市は広島大学の移転によりアパートが続々と新築され活気のある時代でした。弊社も同様に学生用マンションを中心に、現会長の人柄で工場、病院、店舗、住宅など幅広く手掛けていました。
当時の代表の大江弘康さんは「いただいた信頼を仕事で返す」というポリシーで休みなく仕事をする人。その姿から仕事は人間力なのだと教えてもらいました。
先輩の給料を分けてもらった10年間
私は与えられた仕事をとにかくこなす、食らいつくような日々でした。スマートフォンはなくインターネットも普及していない時代ですから、休日に出社して資材のカタログを見たり、建築関係の雑誌や本を読んで知識を頭に入れていきました。
そのころの自分を支えていたのは、高校の恩師から言われた「10年間は先輩の給料を分けてもらっていると思って働け」という言葉です。設計士として1人前になるのに10年かかるという意味で、私を励ましてくれた言葉です。
仕事がひと通り分かるようになってからの次の課題は、限られた時間でいい仕事をすることでした。時間をかければいい仕事ができるのは当たり前です。一方で、時間をかければお客様に負担がかかります。お客さまの要望をクリアしつついいものを提案する、そこに挑戦し続けてきました。
満足はまだない
これまでの30年で印象に残った仕事を選ぼうにも選ぶことができません。どの案件も精いっぱいでした。自戒の念を込めて100点だと思えることはなく、もっとできることがあったのではないかと思います。
これからも「もっといい知恵はないか」という問いかけを忘れることなく、皆様からいただいた信頼を仕事で返せるように取り組みます。これからもよろしくお願いいたします。1年間、ありがとうございました。