フィルムを使わず、デジタル処理した画像を衛星経由で受信して上映する新しい型の映画館、T・ジョイ東広島が2000年12月9日、フジグラン東広島ショッピングセンター (東広島市西条町御薗宇)3階にオープンした。
これに先駆け8日、デジタル映画「長崎ぶらぶら節」の特別上映会が行われた。1回目の上映が終わった後、出演した吉永小百合さんと高島礼子さんが記者会見し、フィルムを使わない新しい映画づくりなどについてこれからの抱負などを語った。
(ザ・ウイークリー・プレスネット:2000年12月16日号より)
ー新しいシステムに変容した映画館をどう感じますか?
吉永:びっくりしています。シネマコンプレックス(複合映画館)へ来るのは初めて。ここも昨日初めて見学しましたが、壁やイスなどがシアターごとに違っていて、ふと21世紀の半ばまで来たんじゃないかと思いました。時世に乗り遅れないようにしたいと思います。
高島:新しいシステムを取り入れることは良いことだと思います。ただ、昔のものを残していくこもと大切だと思います。まだまだ分からないことが多いので、勉強したいと思います。
ー東広島市民にどのように使って欲しいですか?
吉永:みなさんの集いの場所にしてもらいたいです。映画を見たり、子供たちと一緒に利用できる場所になったらいいと思います。それが映画を通じてだとうれしいですね。
高島:改まったものではなく、買い物をしながら、例えば平日に「ちょっと寄ってみようかしら」と気軽に行くことが出来る場所になれたらいいなと思います。それが映画を通じてだと、なおいいですね。
ーシネコンはよく利用されるのですか?
高島:映画はよく見に行きます。映画のはしごをしたりするんですが、そのためには一度出なければならなかったり、何分か歩いたりしなければならないのが現状です。そういう意味ではシネコンを利用しつつありますね。
ーフィルムを使わずに撮影するなどデジタル化が進んでいます。それについてはどう思われてますか?
吉永:デジタルというと液晶テレビなどが出来て、どきっとしましたが、(デジタル化は)どんどんやっていった方がいいと思います。ただ、(最新技術と)撮影所とのギャップはあります。クーラーがついていなかったりしてずいぶんギャップはありますが、(撮影所も映画館も)夢を作る工場になってくれればいいと思います。
ー東広島市も含めて広島の人たちの印象を教えてください。
吉永:今回、舞台あいさつをさせて頂いたのですが、女性が多くてあたたかい雰囲気でした。積極的で明るい方が多いですね。女性だけではなく、仕事帰りのお父さんにもぜひ映画を見てもらいたいです。
高島:舞台あいさつをして感じたことは、皆さんの反応が早いこと。親しみが持てて、あいさつがしやすい雰囲気でした。
ーデジタル化についてどう思いますか?
高島:先ほどと重複するところがありますが、新しいものは新しいもので取り入れて行くべきだと思います。でもフィルムにもフィルムのよさがあるので…。将来はお客さんがデジタルかフィルムかを選んでいくのではないかと思います。
終始なごやかな雰囲気で行われた記者会見。2人ともにこやかに質問に応じ、時には笑いも起こった。午後4時からは地域の児童・幼児をデジタルシネマ体験上映会に無料で招待し、「トイ・ストーリー2」のフィルムとデジタルの上映会を開いた。途中でフィルムとデジタルを変えるため、映像が一時停止されると、館内からは「なんで、止めるのー」という声が。子供たちにとっては有意義な2時間だった。
注:T・ジョイ東広島にはさまざまな最新設備がある。そのひとつが、衛星によるデジタル映像配信に対応していること。国内には3館しかない専用の映写機を導入し、映画はもちろん、スポーツイベントなどの生中継も出来る。また音響システムは、コンサートなどの音響設備で有名なボーズ社が同館のために開発したシステムで、スクリーンもドイツ・ゲレッツ社製のフラットスクリーンを国内で初めて採用している。