上田宗箇流和風会東広島支部、東広島遠鐘クラブは12月8日、東広島市西条本町の賀茂鶴酒造迎賓館で「上田宗冏お家元茶席と講演会」を開いた。家元の上田宗冏さんは、安芸広島藩の初代藩主・浅野長晟以降の広島藩の歴史や文化について講演。上田さんは「原爆の被災の中で、浅野家ゆかりの能面や能衣装約200点が現存しており、能面には半分がケロイド状で残るものもある。歴代藩主らを祭る饒津(にぎつ)神社(広島市東区)の境内に収蔵庫の建設を計画中で、これらは完成後に展示される予定」などと紹介。
さらに、「広島のまちは原爆投下から復興のために懸命に頑張ってきた。70年を超え、原爆投下以前の広島の歴史について未来に語り継いでいきたい」と強調した。2019年は浅野長晟が広島城に入城して400年目。広島県は昭和20年の原爆投下で多くの歴史建造物を失い、歴史文化を語る企画がこれまで少なかった。上田宗箇流は流祖上田宗箇が芸州藩(広島藩)家老だったことが縁で江戸時代、武家文化、広島の文化を知ってもらおうと周知に努めている。
講演前には茶席で聴講者約50人に抹茶が振る舞われ、茶の湯を楽しんだ。
(奈須)