東広島市八本松町の原自治協議会と原ふるさとづくり協議会から昨年3月29日付で市に提出された財産区団体活動事業補助金の実績報告書の審査が不適切で、補助金が違法に支出され原財産区に損害を与えたとして、原地区の住民たちが1月30日、市監査委員に対し、高垣広徳市長に、支払う必要のない2協議会への補助金を原財産区に返還するよう求める2通の住民監査請求書を提出した。
原自治協議会から提出された戦没者慰霊碑周辺整備に関する報告書についての監査請求では、一部で虚偽の申請で不法行為が行われているなどと指摘。支出証拠書類として提出された領収書には、補助金交付決定前の日付や、補助金申請に記載がないものなどが散見している とした。
さらに、実績報告書には、立木を伐採したとしているが、立木は申請前に市が伐採しており虚偽であったことを問題視。これらは到底補助対象とすることができず、慰霊碑周辺整備で交付した補助金全額(784万円)を返還するよう求めている。
一方、原ふるさとづくり協議会から提出された報告書についての監査請求書では、「平成23年に開催された原自治協議会の設立総会で、原ふるさとづくり協議会は原自治協議会に移行するとされており、原ふるさとづくり協議会は実態のない団体と思われる」としながら、「原自治協議会の交付金交付申請書の事業計画と、原ふるさとづくり協議会の補助金交付申請書の事業計画の多くが重複している」と指摘。
支出証拠書類として提出された領収書には、宛名が原自治協議会のものや、活動報告がされておらずどのような活動に支出したのか実態が不明な領収証が多い、などとして、支払う必要のなかった補助金約439万円の返還や実態の把握を求めている。
原自治協議会と原ふるさとづくり協議会は同一人物が会長を務める。2通の住民監査請求書は、それぞれ原地区住民163人が請求した。請求者人代表者は「不適切な補助金の支出はあってはならないこと。今後、このようなことが二度と起こらないように、という思いも含め監査請求をした」としている。
(日川)
市町村が合併する際に、合併前の旧市町村単位で所有していた土地や山林などの財産を、合併後も旧市町村単位で所有・管理ができるようにした特別地方公共団体。東広島市には21の財産区がある。一般的な行政機能は持たず、財産区のある市町村長が財産の執行機関となる。つまり、財産区の財産の執行は、市が市の補助金として各団体に支出することになる。