中小企業や個人事業者などのビジネスに関する悩みに無料で応じる「東広島ビジネスサポートセンターHi-Biz(ハイビズ)」(東広島市西条岡町)。事業者の目線に立った伴走型の個別支援で、経営上のさまざまな課題を解決に導いていく。開所からおよそ1カ月で、既にゴールデンウイーク明けまで新規予約がいっぱいの人気ぶり。…というが、新しいスタイルの相談窓口で、分からないことも多い。5つの謎を同センターに聞いた。
(茨木あゆ)
地域の産業活性化をテーマに、東広島市が開設して、東広島商工会議所が委託運営している公的相談窓口。市が運営資金などを捻出しているので、事業者は市内外問わず、「誰でも」「何でも」「何度でも」無料で相談できる。
事業計画書や財務諸表などを見て問題点を探る従来の支援では、コスト削減にはつながるが売り上げ向上にはつながらないことが多い。ハイビズでは、ヒアリングによって事業者自身が気付いていない強みやセールスポイントを見つけ、方策を提案していく。戦略や戦術を「事業者と一緒に」「事業者の目線で」考えながら、新商品・新サービスの開発、販路開拓、新分野へ進出、他社との連携などにつなげていく。
現在、プロジェクトマネージャーの西村大が相談に対応している。7月には、センター長が就任し、ITアドバイザー、クリエイティブアドバイザーなどの専門アドバイザーも今後配置していく計画。また、さまざまな支援機関と事業者を結ぶハブ的施設として、より専門性の高い相談には、適切な専門機関を紹介し、幅広いネットワークでサポートしていく。
中小企業の経営者や個人事業者以外にも、起業を考えている人や地域のグループ、各商工会などから「新しい事を始めたい」「地域を盛り上げたい」「地域サービスを向上させたい」などの相談を受けることも多い。事業に関係する悩みであれば、業種に関係なく、どんなささいなことでも相談に応じている。
お金をかけずに売り上げ向上につながる具体的なアドバイスを提供する。強みなどヒアリング。「すごい」と思うポイントを見つけて深掘りして、「御社の技術ならこんなことができますよね」などと提案。先入観を持たないために現場や店舗への訪問はしない。知恵とアイデアでビジネスの流れを変えていく手伝いをする。
提案を1カ月ほど実践してもらい、再度来所してもらう。根拠に基づいた提案をしているので、結果として「大外れ」というのはまずないが、事業者が望む思わしい結果が出るまで、的確で質の高いフォローを継続していく。何度相談しても無料なので、経営者にとってはノーリスク。
最大のハテナ? 本当に結果が出るの⁉
—Hi-Bizがモデルとした「f-Biz」はとんでもないヒットメーカー!
ハイビズは、「行列のできる相談所」として知られる静岡県富士市の「富士市産業支援センターf-Biz(エフビズ)」をモデルにしている。
エフビズは現在、アドバイザー6人が年間約4000組の相談に応じている。これまでに、新商品・新サービスの開発、新分野への進出を相談した事業者の7割が売り上げを実感、約300組が開業している。
開所したのは2008年8月。当初はアドバイザー2人と事務局員2人でスタートし、人員を強化していった。「お金をかけずに知恵で勝負する新しい形のコンサルティング」で、ユニークな商品やサービスを続々と誕生させた。この企業支援の形は「Bizモデル」と呼ばれ、全国から注目されるように。今年3月末までに全国25カ所で「ご当地Biz」が誕生している。
老舗和洋菓子店の場合
1. 売り上げアップを目指してf-Bizに相談
2. f-Bizが若い世代へのアプローチを考え、萌え断」「インスタ映え」に注目した商品を提案
3. 2の提案を受け、老舗和洋菓子店で和洋折衷のどら焼き「どらサンド」を開発、発売。
2年間で4万個を売り上げ今では看板商品に
詳しくはHPへ https://hi-biz.jp/