色とりどりのバラが咲き乱れ、甘美な香りに包まれた癒やしの空間を作りませんか。ゆったりとした気持ちで手入れをして、咲いた時の喜びは格別。「管理が難しそう」というイメージもありますが、実はそうでもないんです。
「いくつかのポイントさえ押さえれば、初心者でも簡単に美しいバラを咲かすことができますよ」と教えてくれたのは、さいじょう緑化造園(東広島市西条土与丸)の大岡照侍店長。バラには、春・夏・秋に花を咲かせる「四季咲き」、春と秋に花を咲かせる「返り咲き」、春から秋にかけて咲き続ける「繰り返し咲き」など、1年に何度も開花する品種も。さいじょう緑化造園では、「四季咲き」を中心に約300種類のバラが並ぶ。「秋が一番花の色がきれいです。やり出すとはまる人が多いですよ」と話す大岡店長に、初心者にもおすすめの品種、育て方や管理のポイントを聞いた。
Q. バラは切り花も苗も高価ですが、育成の難しさと関係があるのですか?
A. バラは「挿し木」や「接ぎ木」といった方法で増やしていきますが、特に接ぎ木は技術的にも難しく、成長に時間がかかるため、株を立派にして流通させるまでに、少なくとも1年から2年ほどかかります。店に並ぶまでに、生産畑で手間暇がかかっているわけです。
育成が難しいというイメージもありますが、品種改良が進んだこともあって、近年では強くて育てやすい品種が増えています。
Q. 失敗してしまう(バラを枯らしてしまう)原因は何ですか。
A. 水のやり過ぎや、やらなさ過ぎが主な原因です。また、カミキリムシの幼虫などが幹に入り込んだ場合も枯れてしまいます。適度な水やりと、定期的な薬剤の散布を心掛けましょう。
芽を出し始める3月、1回目の花が終わった6月、2回目の開花が始まる9月、休眠期に入る前の12月をめどに3カ月ごとに追肥を行い、虫と病気予防には月1回バラ専用の薬剤をまいてあげれば花を咲かせてくれます。
【最初にこれをそろえよう】
バラの苗の購入時に、育成に必要なアイテムをそろえておくと管理がしやすい。肥料と薬剤はバラ専用のものが販売されている。薬剤は内容成分の違うものを2種類ほど購入して、1カ月おきに使い分けることで、虫と病気の両方を広く予防できる。剪定(せんてい)用のはさみは、しっかりと切れるものを選ぼう。切りにくいはさみは枝を傷つけ、病気の原因になるので注意。バラのとげから手を守る厚手の手袋も忘れずに。
【手入れのポイント】
❶鉢植えでも地植えでも、日当たり、風通し、水はけの良い場所を選びましょう。土を乾き気味にすることで根が張りやすくなるので、水は与え過ぎないように。葉先が「ふにゃり」となれば水やりの合図。夏場は土の乾き過ぎに注意してください。
❷花は、七~八分咲き程度で切り花にしましょう。そうすることで、種を作ろうとする養分が他の花に回ります。茎に5枚の葉が並んだ「5枚葉」以上の部分を切ります。5枚葉が出ている付け根から花芽が出てきて2回目、3回目の開花を楽しむことができます。冬場の休眠期には幹に近い部分までバッサリと刈り込みます。土の入れ替えや植え替えもこの時期に。寒さ越えの肥料も忘れずに施しましょう。
【バラの3つの特性】
バラは、「木立ち性(ブッシュ・ローズ、木バラ)」、「つる性(クライミング・ローズ)」、「半つる性(シュラブ・ローズ)」の3種類に分けることができる。初心者には木立ち性がおすすめ。
[半つる性]
小型のつる性バラ。短く切り詰めて、木立ち性のように仕立てることもできる。枝の太さや柔らかさはさまざま。つるを伸ばした場合、全長2~3㍍に成長する。
[つる性]
フェンスやパーゴラ、壁などにつるをはわせて花を楽しむことができる。自らつるを絡ませることがないので、誘引する手入れなどが必要。全長5~6㍍に成長する。
[木立ち性]
幹がしっかりしていて自立し、春から秋まで繰り返し開花する。樹形は直立性から横張り性までさまざま。
【大岡店長 おすすめの品種】
・デスデモーナ(イングリッシュローズ)
四季咲き/聖杯型の花/中輪大(8~10㌢)/強香
幅広によく茂り、耐病性に優れている。開花期が極めて長く、濃厚なミルラ(没薬)の香り。ピュアホワイトのソフトな色合いは他の植物や宿根草との相性もよい。
・プラリーヌ・ルージュ(フレンチローズ)
四季咲き/ロゼット咲き/中輪(8㌢)/強香
春から秋にかけて繰り返しよく咲く。とげの少ないしなやかな枝が特徴。グレープフルーツやベリーを思わせる香り。
・禅(和バラ)
四季咲き/剣弁高芯咲き/(8㌢)/中香
日本で開発された品種。開花サイクルが短く、次々と花を咲かせる。濃茶色の花は、開花とともに紫色に変化する。花持ちと水上げに優れ、切り花にも適している。
この機会にぜひゆったりと癒やしの空間をつくろう!
※プレスネット 2020年4月23日号掲載記事より