新型コロナウイルスとの戦いは長期戦になりそうだ。東広島市民や中小事業者たちはこれからどう向き合っていけばいいのだろうか。東広島市の高垣広徳市長と木原和由商工会議所会頭に、これまでの支援策などを振り返ってもらいながら、今後への思いなどを聞いた。
(聞き手・日川)
緊急相談窓口やハイビズの活用を 事業者の思いに応える
―東広島商議所のこれまでの支援策を総括してください。
3月には、会員事業者を対象に緊急アンケートを行い、そのアンケートの思いを反映させる形で、6月に東広島市と共同で、東広島商議所会館内に「中小企業等緊急相談窓口」を設置し、各種申請書の作成に苦戦している事業者を支援する体制を整えた。一方で4月からは県の支援事業で、各種融資などの相談も行っている。事業者の一助になることができたと考えている。
―緊急相談窓口は好評だと聞いています。
開始から1カ月で67件の相談をいただいた。多くの事業者が「何とか助けてほしい」との思いで相談に来られ、「商議所に行けば悩みが解決する」といったうれしい言葉もいただいている。
―緊急アンケートの2回目を集計中です。
昨年5月期との売上高の比較では、飲食店やレジャー施設などを中心に売り上げの減少した事業所が7割あった半面、食料品や医薬品を取り扱う小売店などで売り上げが増加した事業所も1割あった。ただ、しばらくの間は「ウィズコロナ」。ウイルスと共存しながら、経済活動や日常生活に「新しい生活様式」を取り入れ、事業を継続するための最善策を考えることになるだろう。
―長期戦が予想されるということですね。
はい。ただ、今回のアンケートでは従業員を解雇した事業者がほとんどなく、改めて経営者の従業員に対する責任感の強さを感じることができた。商議所ではその事業者の思いをサポートしていきたいと思っている。
―具体的には。
雇用面では、雇用を維持するための雇用調整助成金の特例措置が9月30日まで延長され、従業員に休業手当を払った場合に支給する助成の上限も1万5000円にアップした。さらに事業者に活用してもらえるようサポートする。
また、小規模事業者の販路開拓を支援する持続化補助金は、補助の上限が100万円で使い勝手が良い制度。もっと周知を促したい。持続化補助金はこれまで80件余りの企業が申請しているが、その半数はオンライン活用による取り組み。働き方改革などで新たなビジネスに挑戦する試みは重要であり、積極的に支援したい。
―飲食店には独自の支援策も行われました。
地域飲食店応援プロジェクト「みらい飯」と銘打って、クラウドファンディングを活用し集まった支援金を市内の飲食店に届けるプロジェクトで、市民からは予想を上回る280万円を越える支援をいただき感謝している。46の飲食店に参加してもらい、店舗を指定して支援した人には、その店で使える商品券を発行することにしている。
―商議所の役割は重要です。
中小企業は、全企業者の99%を占めており、地域経済を支える原動力になっている。コロナ禍では中小企業が大きなダメージを受けており、商議所は身近な支援機関として本領を発揮するときだと思っている。緊急相談窓口や、今年2月にオープンした「Hi₋Biz(ハイビズ)」を有効に活用してもらいたい。
―ハイビズは市が設置し商議所が運営しています。特徴は。
厳しい審査で選ばれたプロのコンサルタントが企業で最も重要な「売り上げを伸ばす」ための具体的なプランを、それぞれの会社の強みを生かしながら、提示しているのが特徴で、これまでの支援機関とは異なる。おかげさまで「行例のできる相談所」として評判を呼んでいる。
―最後に事業者に発信したいメッセージを。
戦略的な事業の相談はハイビズ、金融・税務・経理など基本的なことは商議所で担当するというように役割を分担し、他地区にない連携プレーでハイビズ運営のロールモデルとなれるよう磨きをかけ東広島の経済を盛り上げていく覚悟だ。
▼経営相談窓口ハイビズ https://hi-biz.jp/