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父被爆の作詞家と〝平和への思い〟二人三脚で 歌手、高橋樺子さん CD曲「母さん生きて」

  • 2020/08/07

原爆ドーム

 

 「母さん生きて命のあるかぎり」―。米国による広島への原爆投下から8月で75年。毎年、終戦の月になると平和を願って歌われる曲がある。歌手、高橋樺子(はなこ)さんが戦後70年の2015年にリリースした平和の尊さを訴える祈念歌「母さん生きて」(作曲/鈴木潔)。この歌は1945年8月6日、原爆が広島に落とされた被爆の実話から誕生した。

 書いたのは「釡ヶ崎人情」(唄/三音英次)など大阪にこだわって曲を書き続けている作詞家、もず唱平さん(81)。樺子さんの師匠で詞はもずさんが2次被爆した父・潔さんから聞いた原爆の体験を元にしている。

 さらに詩はこう続く―。「苦しみを一人で耐えて あなたを残して旅立つ私 いけないことです 親不孝 神様 赦(ゆる)してください―」。この曲は5年前、発信地である広島で「七十年目の鎮魂歌~もず唱平・母さん生きて~」としてテレビで紹介された。

 樺子さんは歌好きの父の影響もあり幼い頃から歌が大好きで、関西歌謡大賞(レコード商組合主催の音楽祭)でグランプリを受賞。これをきっかけに審査委員長・もず唱平さんの門下生となる。東日本大震災復興支援ソング「がんばれ援歌」で11年6月29日、デビュー。この作品は作家の音楽著作権料が全額、復興支援団体に譲渡されている。樺子さんもこの歌でボランティア活動を続けている。

 樺子さんの愛称は〝カバコ〟。モットーは〝ピース&ラブ〟で歌による戦争と平和を検証、戦跡めぐり(沖縄・グアム・サイパン・テニアンなど)を行っている。樺子さんは「戦跡めぐりを通して平和の尊さを実感できるようになりました。今では歌でメッセージが発信できる喜びをかみしめ、さらに情感を込めて歌えるようになりました」と話し、師匠のもずさんも「愛弟子〝カバコ〟には平和の尊さ、〝ピース&ラブ〟をテーマに与えています。職人芸の作詞家として次世代に戦争の残酷さ、二度と戦争を起こしてはいけないという申し送りをするのは私の役目です」と平和への思いを込める。

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