東広島市選出の県議は4人。その役割は重要だが、選挙を除くと、市民が4人と接する機会はほとんどない。4人は県政や旬の問題をどう捉えているのだろうか。読者に代わって「読者が知りたい」同じ質問を4人にぶつけ、思いを語ってもらった。(日川)
※県議の掲載は前回選挙(2019)得票順による
豪雨災害の対応に尽力
―県議として6期目です。これまでに取り組んできた成果の総括を。
県議として県全体を見据えて仕事に取り組んできた一方、東広島市や出身母体(マツダ)にも目配りをしてきた。おととしの西日本豪雨災害後は、連日地域の要望を聞いて回り対応に努めた。今回のコロナ禍では、マツダ関連企業や地域を回り、補助金申請などがスムーズにできるよう尽力してきた。主要農作物種子法の廃止を受け、幅広い農作物の種子の普及や生産に努めることを掲げた県独自の種子条例を議員提案で制定できたことも意義深い。
最後まで貫く意志を
―湯崎英彦知事の県政はどう捉えていますか。
平成30年7月豪雨をはじめとする自然災害や新型コロナウイルスの発生などに対していち早く現場に出向き地域の人に話を聞くなど真摯に対応している。現場主義を徹底し懸命に対応する姿勢を高く評価している。一方で、1兆円の経済波及効果を目指すとした「瀬戸内・海の道構想」など厳しい目標が設定されている事業や、困難な課題に対して、さらなる強いリーダーシップを発揮してほしい。
《横綱県議》の対応カギ
―いわゆる「河井夫妻」問題については。両被告の公判が始まり、県内の政治家には被告から現金を受け取ったことを認める人もいます。
県議会は人を裁く組織ではない。ただ、公判で被買収者の県議として13人の名前が挙がった以上、13人は、政治倫理条例に則って説明責任を果たしてもらい、責任も問われなければならない。もう一つ、今回の件で黒幕の一人と噂されながら、公判で名前が挙がっていなかった《横綱県議》にどう向き合い、ただしていくのか。この問題の大きなポイントだと思っている。
市民との対話を
―前回県議選(東広島市選挙区)の投票率は過去最低の32・51%でした。
議員の顔や仕事が市民に見えないことが大きな要因だ。有権者に関心を持ってもらうためには、県政報告会を開いたり、市民が集うイベントに参加したりしながら、市民とのコミュニケーションを取っていく以外にない。その際には、できることはできる、できないことはできない、ときちんと意思表示をすることが大事。中途半端な対応は、市民の議員への信頼を損ねることになる。
市議との連携不可欠
―これから東広島市発展のために取り組みたいことは何ですか。
東広島市と市内4大学の連携を図りながら、公共交通を生かした街づくりを思い描いている。一本の筋は持っているが、具体的なアプローチはこれから。ただ、時間は必要だし、私一人ではできない。賛同者を作っていくのと、県議間の壁をなくしていくこと、そして東広島選出の4人の県議と市議の連携を図っていくことが不可欠だ。
市民からは「(西本さんは)自民党なのか、旧民主党なのか、よう分からん」と揶揄されるが、「庶民(市民)派」の立場で物事を考える本人にとっては、褒め言葉ではないだろうか。
庶民派政治家としての覚悟を感じたのが、河井問題で、県議会に影響力を及ぼしてきた『横綱県議』のことに言及したことだ。県議会全体として、市民から信頼を失ったことへの怒りと、何度も横綱県議に煮え湯を飲まされてきた憤りが、この言葉となって出たのだろう。忖度がはびこるガチガチの自民党議員なら絶対に口にできなかった言葉だ。
支持母体となるのは労働組合だ。元県議の芝清氏の後継だが、芝氏の時代とは違って労組の後ろ盾は強くない。このため、リベラルに近い中庸な路線を志向し、自民党系の支持層にもウィングを広げてきた。
とかく市民は、芝氏との比較で西本氏を評価する傾向が強い。ただ、市民と向き合っているのは現職だ。周囲の評価に惑わされることなく、西本氏流の政治を貫いてほしい。
【プロフィル】
1962年生まれ。江田島高卒。80年、東洋工業(現マツダ)入社。東広島市議を2期務めた後、2015年、県議選初当選。19年に2期目の当選を果たす。県議会の所属会派は民主県政会。高屋町小谷。
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