東広島市選出の県議は4人。その役割は重要だが、選挙を除くと、市民が4人と接する機会はほとんどない。4人は県政や旬の問題をどう捉えているのだろうか。読者に代わって「読者が知りたい」同じ質問を4人にぶつけ、思いを語ってもらった。(日川)
※県議の掲載は前回選挙(2019)得票順による
想像以上の忙しさ
―県議になって1年半です。これまでの率直な思いを。
県議になって感じたのは、直接執行部にアクションを起こすことができること。災害対応では市内には道路や河川など県が関与している案件が多く、県職員に現場に足を運んでもらい、市民と行政の橋渡し役ができるよう努めている。もう一つは、思った以上に忙しいこと。執行部と議論したり、会派の意見をまとめたり、と議員の仕事をまっとうしている。当然、県議になる前と比べると、地域に顔を出す機会は少なくなっており、どういう形で地域の声を拾っていくか工夫したい。
長期ビジョンを持って
―湯崎英彦知事の県政はどう捉えていますか。
新型コロナウイルスの感染対策などスピード感を持ってやっていただいている。職員も一生懸命だ。ただ、その取り組みが県民にきちんと伝わっているかというと十分ではない。どうすれば県民に伝えることができるか考えてもらいたい。もう一つ、10年ビジョン、20年ビジョンのように先を見据えた長期ビジョンを持ってほしい。
各自の判断で説明責任を
―いわゆる「河井夫妻」問題については。両被告の公判が始まり、県内の政治家には被告から現金を受け取ったことを認める人もいます。
所属する会派からは8人が現金を受領したとされたが、受領の状況はそれぞれで異なり、会派よりも個々の問題。どういうつもりで受け取ったのか、それぞれ分かっていると思うので、各自の判断で説明責任を果たしてもらいたい。一方で、買収の罪に問われている河井夫妻には、きちんと謝罪してもらいたい。往生際が悪いというか、政治への信頼を失墜させた責任は重い。
税を学ぶ教育の充実を
―前回県議選(東広島市選挙区)の投票率は過去最低の32・51%でした。
議会の大きな役割の一つが税の再分配。教育の場で税のことを学ぶ機会が増えれば、納めた税金の分配を決める議会や議員に関心を持つようになるのではないか。インターネット投票が実現すれば、投票率を高める武器になるだろう。あとは議員の努力。市民には、誰がなっても一緒のように思われがちだが、私自身、「こうなりたいな」と思う魅力ある議員もいる。活動している姿をコツコツと市民に見せることに努力したい。
DX分野のトップランナーに
―これから東広島市発展のために取り組みたいことは何ですか。
県外から東広島市を訪れた人に、「この街っていいよね」と言ってもらえるような都市になれるようアプローチしていきたい。デジタル技術を駆使したデジタルトランスフォーメーション(DX)の分野では、他都市に負けないようなトップランナーの意識を持って取り組む必要がある。そのためには教育と医療体制の整備は最も必要なこと。都市の根幹であり充実させていきたい。
松下政経塾出身の政治家らしく、理路整然とした語り口が印象的だ。「どれだけの仕事ができるかが地方の政治家の使命だから」と政治の出発点だった旧民主党から県議選後、自民党に転じたことに、こだわりはない。
東広島では初の30代県議。フットワークの軽さは彼の最大の持ち味だ。市民からは、「よく動いてくれる」と評される。
ただ、猪突猛進型の若さは「両刃の剣」にもなりうる。政治家には誠意や正義感、一本の筋道といった資質の他に、時には「したたかさ」や「清濁併せのむ」覚悟を持つことも必要だ。市選出のベテラン2人の自民党県議にあって、本人に足りないところだろう。
議会内では、若いにもかかわらず執行部の政策に関与できる立場にいる(会派政務調査会幹事)。そのこともあってか、政策の大切さを強調する。では、そのポジションを活かして、市民にどう還元してくれるのか。市民の生活が向上するような具体的な政策を、これまでの政治家には見られないような手法で分かりやすく提示してもらいたい。河井問題に揺れている負の問題を払しょくする唯一の手だてだからだ。詳しくは年末の記者座談会で触れたい。
【プロフィル】
1983年生まれ。広島城北高、慶應義塾大卒。パナソニック、松下政経塾などを経て、2019年、県議選初当選。県議会では最大会派の自民議連所属。会派政務調査会幹事。ライフワークは少林寺拳法。西条町。
▽関連記事
「下原康充 氏」市民の「知りたい」を直撃!【東広島選出県議に聞く①】
「井原 修 氏」市民の「知りたい」を直撃!【東広島選出県議に聞く②】
「西本博之氏」市民の「知りたい」を直撃!【東広島選出県議に聞く③】