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【河井夫妻大規模買収事件】下原 康充県議、現金受領の思いを告白

2020.12.24

 昨年7月の参院選広島選挙区の大規模買収事件で、公選法違反罪に問われた元法相の河井克行被告と妻で参院議員の案里被告から現金を受け取ったとして、両被告の検察側証人として出廷していた東広島市選出の下原康充県議(69)が、本紙プレスネットのインタビューに応じた。今回の問題についての率直な思いを赤裸々に語った。 (日川)

 

 

経 緯

 

――河井案里被告から現金をもらったのか。

 

取材に答える下原康充県議

下原康充県議(以下、下原) 受け取ったことは事実。県議選投票日の昨年4月7日の午後、案里さんから僕の事務所で50万円をもらった。かばんから白い封筒を差し出し、「当選祝い」「陣中見舞い」と名目を変え、受け取るよう求めてきた。まだ当選が決まっていなかったり、領収書の発行を断られたりしたため、拒否を続けると、案里さんは「病気療養中の奥さまの見舞いに」と受け取るよう求めてきた。断りきれなかった。案里さんは公判で「下原さんに渡した記憶はない」と否定しているようだが、僕が話しているのは事実だ。

 

――なぜ断れなかったのか。

 

下原 当時、妻はステージ4のがんで闘病中。「奥さまのお見舞いに」と言われ、琴線に触れ断り切れなかった。見舞金としての50万円については、闘病中の妻のことを考えれば、金額の大小はあてはまらないと思った。気持ちの中では、違法な金になるのかなとの認識もあった一方で、買収と受け取られかねないお金であったとしても、政治団体間の資金提供を認める政治資金規正法にのっとって処理をすれば問題はないという思いもあった。

 

――実際に処理をしたのか。

 

下原 2019年度の収支報告書には、案里さんの支部から私の支部への交付金として記載、領収書も作って処理をしようとした。記載をすれば、僕が案里さんからお金をもらったことが世間にばれることになるが、私の性格上、隠し事はしたくなかった。今年3月末に、自民党県連を通して県選管に提出するようにしたが、県連の方で「河井さんの案件は受け取れない」ということになった。

 

 

「良心の呵責にさいなまれていた」

 

 

取り調べ

 

――それからは。

 

下原 広島地検の取り調べで、そのことを話すと、「案里被告の現金の名目が二転三転しており、買収のための現金であることは明らか。記載すること自体がうその報告になり罪に問われる」と言われ、報告書を引き下げた。

 

――検察の取り調べでは正直に話をしたのか。

 

下原 最初に任意で取り調べを受けたのが3月25日。その後、計7、8回取り調べを受けた。今年2月に亡くなった妻と、うそを言ってはいけないと約束をしていたので正直に話をした。さきほど話したように、法にのっとって処理をすれば違法ではない、との認識も少なからずあったが、取り調べの中で違法であると確信した。一方で、現金を受け取って以降、常に良心の呵責にさいなまれていたのも事実。最初に取り調べを受けた日に、医療機関に寄付した。

 

――案里被告から受け取った金を寄付したのか。

 

下原 その50万円は、妻が立て替えてくれた県議選の費用や、妻の病院の治療費に使っていた。医療機関に寄付したのは、私が用意したお金だ。3月25日にガンの薬を開発している県外の医療機関の基金に50万円を寄付した。贖罪の気持ちだった。

 

下原さんが医療機関に寄付した際の振り込みの明細。贖罪の気持ちで寄付したという

――取り調べで違法であると認識したのに、なぜ公表しなかったのか。

 

下原 検察から止められていた。裁判が始まると、私の供述は証拠となる。公表すると、証拠が証拠ではなくなる危険性があったからだ。押し通すつもりだったが、実名が出た初公判(8月25日)後に、マスコミのぶら下がり取材に抗いきれなくなった。公判が終わればきちんと話すつもりでいた。

 

――違法なお金を受け取ると被買収の罪に問われるが。

 

下原 一部マスコミで指摘されているような、取り調べに素直に応じれば罪には問わない、といった司法取引は一切ない。当然、僕も起訴されて罪に問われるのでは、という不安は、常に持っている。だから、これからも贖罪に努めていきたいと思っている。

 

 

今の思い

 

――県議を辞職する考えは。

 

下原 私の法的な処分が出たときに考えたい。罪に問われなければ、県議を辞職する考えはない。市民や支持者の負託に応えていくことが、これからの責任だ。行脚をしながら支持者にお詫びをし、今回のことを正直に話していきたい。

 

――今回の問題で、明るみになった東広島市の政治家は下原さんだけだが。

 

下原 うわさ通りであれば、東広島の政治家に限らず、検察が公表した以外にも現金を受け取った政治家はいるだろう。他人は他人であり、うわさの話をしても仕方がない。私についていえば、こうなるという私の人生だったのだろう。

 

――改めて「政治と金」の問題についてどう考えているのか。

 

下原 多くの政治家は、公職選挙法と政治資金規正法の区別ができていないのではないのか。私も含めてあいまいな解釈が、今回のような大規模買収事件を引き起こしたといえる。ただ、市民の感覚からすると、お金をもらっておきながら合法になるような抜け道があることに疑問を持つだろう。選挙活動にお金がかかるのは事実だが、市民感覚に沿った法整備は絶対に必要だ。

 

――金で人の心は動くと思うか。

 

下原 私自身、案里さんからお金をもらったからといって、案里さんだけに動こうとしたわけではなかった。自民党員として、党の公認候補を応援するのは当たり前。党公認で立候補した溝手顕正さんも、案里さんと同じように応援した。私が言うのも変だが、お金だけでは、人の心は動かないだろう。

 

――最後に市民に伝えることは。

 

下原 迷惑と心配をかけたことにはざんきに堪えない。その一言が正直な思い。他に何を言っても繕うだけだ。

 

 メ モ  河井夫妻大規模買収事件
昨年7月の参院選広島選挙区で、自民党現職の溝手顕正氏と自民党新人の案里被告、無所属現職の森本真治氏が激戦を繰り広げ、森本氏と案里被告が当選した。参院選前に、案里被告を当選させるために、夫の克行被告が単独だったり、案里被告と共謀したりしながら地方議員たち100人に2901万円の現金を渡したとされる。自民党本部が参院選前に河井夫妻側に1億5000万円を提供していたことも分かっている。

 

 

記者・評論家の目

 

ーー下原氏への率直な思い

 

 下原氏には「隠し通せるなら隠し通したい」という気持ちが働いていたのではないか―。下原氏へのインタビューで、筆者が感じた率直な思いだ。


 下原氏は、現金を受け取った直後から、良心の呵責にさいなまれていたという。しかし、そう思いながらも、返そうともしないまま使ってしまっている。現金授受の指摘を受けた、検察の最初の任意聴取があったその日に、医療機関に寄付したことも腑に落ちない。良心の呵責にさいなまれたり、贖罪の気持ちがあったりしたのなら、早い段階で返金したり、寄付したりするのが人の心ではないのか。

 

 一方、今回の事件で言えるのは、どの政治家も現金を受け取った時点でアウトということ。参院選が3カ月後に迫った時期に、立候補予定の河井氏側から、いかなる名目であっても資金提供がなされれば公選法の買収と見られても当然だ。「現金を受け取った事実が消えない以上、どんな弁明も言い訳に過ぎない」。自民党県議とは一線を画す県議の言葉が全てだ。

 

 今回の事件のもう一つの争点は、「横綱県議」と称される大物議員の動向だ。検察の聴取にも証拠がそろわず、起訴も見送られそうな公算が強いが、「横綱県議に到達することが、河井夫妻に渡ったとされる1億5000万円の資金の流れを含め、事件の全容を解明することにつながる。司法には、決してうやむやにしてほしくない」と前述の県議は言い切る。まさに今回の事件の本質を言い得ていると言える。

(プレスネット編集委員 日川 剛伸)

 


 

 

ーー今回の買収事件に一言

 

 今回の事案が表面化したころ、ある広島市内の議員から相談を受けた。「広島地検から任意の事情聴取を受けたがどう対処するべきか」ということだった。


 話を聞いて即座に答えた、「金品の授受が事実であるのなら、即座に議員辞職をするべきだ」と。

 

 今回の買収事案は、河井夫妻の買収事件であり、河井夫妻の罪を問う刑事裁判だ。買収目的で金品を渡した河井夫妻の罪を問う裁判である以上、もらった側の証言が必要。もらった側の証言がなければ訴訟は維持できないが、裁判ではほぼ検事調書通りの証人尋問内容となっているようだ。

 

 予断は許されないが、金品を受領したことが認定され、判決が下りれば、次は金品を受領した側の立件が問題となる。もらった金品をどう処理しようが、もらった事実は消えない。

 

 もらった側の罪を問わないとなれば、公職選挙法そのものが問われることになり、司法における正当性、公平性が根底から覆ることになるのではないか。

(政治評論家 伊藤 正義)

 


 

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