あの日あの時感じたあの言葉、そして心に残る言葉を紹介するコラムです。
野崎賢治さん プロフィール
vol.06 :「野球の神様に感謝します」
2020年9月7日の私のエッセー。
1980年8月 、当時の後楽園球場での対巨人戦で、その記録は達成されました。
衣笠祥雄選手、124 7試合連続試合出場、日本新記録の達成です。足掛け11年、全ての公式試合に一日も休まず試合に出続け、この大記録を達成しました。
カープが地元広島に戻って初のテレビ中継が当社。試合終了後、旧広島市民球場での記念セレモニーの共同インタビューを、私が担当しました。
3年目のアナウンサーの私には大変なプレッシャーでした。ただ、そのプレッシャーを楽にしてくれたのが、衣笠選手の人柄でした。
心臓が破裂しそうな状態で、試合前にベンチで衣笠選手にあいさつ。インタビューの打ち合わせを申し出たとき、若いアナウンサーの私に、本当に丁寧に謙虚に応対してくださったからです。
その日の試合は、北別府投手が完封勝利で花を添え、いよいよ私の大役、共同インタビューが始まりました。3万人の大観衆の中、もちろんファンは衣笠選手に大声援を送っていたのでしょうが、大声援の中でのインタビューに、何とも言えない快感を感じたことを覚えています。
その時の衣笠選手の受け答えは、今もしっかり覚えています。「周りの人の助けがあってこの記録が達成できた。そればかりが頭に浮かんでくる、野球ができて幸せです。18歳の時に広島に来て、今こうしてファンの前で祝福を受ける。本当に幸せです。広島に来て、本当に良かったです」。衣笠選手の人柄が出ていて、私も感動しました。
後にこんな言葉も残しています。
「私に野球を与えてくださいました神様に感謝します」
「いつか、誰かにこの記録を破ってほしい。この記録の偉大さが本当に分かるのは、その人だけだろうから…」
鉄人といわれた衣笠選手が、いかに努力してこの記録を達成したのかが、大変よく分かる言葉だと思いました。
📻FM東広島(89・7MHz)で毎週月曜日午後8時~、同名番組を放送中。
放送はサイマルラジオでも聞くことができます。