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(SUN)

83歳の現役美容師として【鍋島桂子さん】

  • 2021/06/15

山口県出身の洋画家で東広島市在住の難波平人さんと妻の英子さんが主宰する第30回記念波の会展で103点の応募作品の中から鍋島桂子さん(83)の作品「晩秋のひまわり」が初めて奨励賞を受賞しました。

 

 

「足が震えるほど、うれしかった」と初受賞した時の思いを振り返る鍋島さん。絵画を習い始めてわずか5年での受賞。鍋島さんは「枯れたひまわりだけど、力強く描いたの。おもしろいでしょ」と笑顔で話しました。

 

絵画始めて5年
83歳で「波の会展」初入賞

 

鍋島さんは79歳の時、友だちに誘われて西条の絵画教室「メセナ会」に入会。

波の会の難波英子さんを講師に迎え、月1回2~3時間、絵画を学びました。東広島市美術展に応募しようと、習い始めから50号のキャンバスに油彩画を描きました。

 

毎年1枚ずつ、美容室の一角をアトリエにして、仕事の合間を利用し作品を制作します。美容室の一角には、今まで描いた作品が所狭しと並んでいます。「お客さんが絵を見て、楽しんでくれるんよ」と喜ばれていました。


1年目に描いたのは「水連」。近所のいけすのスイレンとカエルを写真に撮り、キャンバスに描きました。油彩画を習って4カ月、初めて描いた作品でした。2年目も「水連」、3年目は、「ばら」、4年目は「谷川連峰馬蹄形」、5年目は「晩秋のひまわり」。毎年、市美展に応募し入選しました。

 

昨年は、広島県美術展に「朝焼けのひまわり」を出展しました。 油彩画を習い始めて5年、4回目の挑戦で入選を果たしました。
鍋島さんが描く題材は自然の花が中心。「絵画を始めて、自然を見る目が違ってきた」と語ります。「これは絵の題材になる」と思うとカメラで角度を変えて何枚もシャッターを切ります。6年目の題材はアマリリスにしようと思い、撮影したがまだ決めかねているそう。「題材を決めるのも楽しみの一つ」とほほ笑んでいました。


「絵画は生きがい。同じ趣味の仲間と知り合えたことは何よりの宝」と喜びます。「健康が一番。これからも好きな絵画を楽しんでいきたい。夢は、かなう」と明るく前を向いていました。

 

 

「苦労を苦労と思わない」

 

鍋島さんは父を戦争で亡くしました。

鍋島さんの母は3人の幼子を抱え、生きることに必至でした。経済的に苦しい中、母に手に職を付けるように言われ、 中学校を卒業した次の日から美容院へ見習いとして住み込みを始めました。

 

午前5時、大きな釜で湯を沸かすことから一日が始まります。

美容師としての仕事が終わった後も、美容の練習をひたすらし、就寝は日をまたぐこともあったそう。

その後、結婚されましたが、離婚。1959年、西高屋駅前に美容院を開業されましたが、火事に巻き込まれ、同市高屋町小谷へ美容院を移転し、その後、同町高屋堀に移ります。

 

鍋島さんは、26歳で大病をし、3歳の息子を母に預けて11カ月の入院生活、48歳で体調を崩し手術、50日入院しました。

子育てをしながらの仕事や、健康面で辛い時期もあったそうです。ただ、 苦労を苦労と思わないのが鍋島さんの流儀。

 

「お客さんが、私の波乱万丈の人生を本に書きんさい言うんよ。母の苦労を思えば、私なんか苦労じゃないわ」と笑顔で話されました。

 

 

83歳の現役美容師として

 

83歳の今も息子が経営する フレーム本店  link-out.png  で現役の美容師として生き生きと働いています。

この日は、常連客の同市高屋町白市の下森幸子さん(74)がパーマをかけに来られました。

 

 

美容師歴68年の鍋島さん。手際よくロットを巻き、てきぱきと仕事をこなす姿からは 全く年齢を感じさせません。

 

下森さんは「鍋島さんは元気で努力家。毎回、髪をきれいにしてもらい鍋島さんにパワーをもらって帰っています」と笑顔。

 

鍋島さんは「たくさんの温かいお客さんに出会って、地域の皆さんに支えてもらったんよ。 ここまで来られたのは、皆さんのおかげよね 」と感謝していました。

 

 

「仕事が好きで生きがい。お客さんから元気をもらう。今日一日、元気で動けるのが一番の幸せなんよ」と笑顔を見せました。

 

 

PROFILE

なべしま・けいこ 1937年生まれ。東広島市高屋町在住。83歳の現役美容師。趣味は絵画、詩吟、書道、海外旅行。2匹の猫と遊ぶのが至福の時間。

 

 

 

(撮影・文:山北)

 

 


 


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