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一丸となってコロナ対策に取り組む 市長と職員の橋渡し役を担いたい 市議会議長 石原賢治氏の本音に迫る

  • 2021/08/30

石原賢治氏

1950年生まれ。東広島市西条町出身。東広島市職員を経て2003年、市議選に立候補し初当選。以後5期連続当選を果たす。この間、議会運営委員長や副議長などを歴任。

 

 東広島市議会の新議長に市職員労組が支援する石原賢治氏(71)=市民フォーラム=が就任して2カ月あまり。東広島市議会では、初めての自民党系以外の議長となった石原氏に、高垣市政への率直な思いや、議会運営の在り方などを聞いた。石原議長の本音は?(日川)

 

■ 執行部に負けない議会に

 ―本紙連載「高垣市政の3年半」を読んでの率直な思いは。

 

 テーマごとに的確にまとめられていて興味深く読んだ。高垣市政の評価については、西日本豪雨災害や新型コロナウイルスの対策に追われたことを考慮しなければならない。有事の対応に追われながら、やっと取り組むべき方向を示してきたところ。つまり3年半では正当な評価はできないのが本音で、もし高垣市長が2期目を目指すのなら、正しく評価されるのは2期目以降だろう。そう考えると、市議の7割が高垣市政を評価する、と答えたのは妥当な数字だ。

 

 ―高垣市長は「議会と互いに課題を共有し、対等な関係で緊張感を持って取り組んでいることが7割の評価になっている」と述べています。

 

 議会は議決権を持っているが、市長側(執行部)に対してはまだまだ弱いと思っている。市の年間予算に占める議会関係の予算は、0・5%程度でしかない。つまり市長は、絶大な権限を持っているということ。部下(市職員)も1000人を超える。当然、市民からすれば、多大な権限を持つ執行部に直接要望すればよく、議会への興味が薄れても仕方ない。その意味では、市長と議会は、まだまだ二元代表制の対等な関係であるとは言えない。執行部に負けないような議会にしていくためには、議会事務局と議会の充実強化を図ることだ。私が議長の間に道筋を付けたい。

 

 ―職員と市長との関係はどう感じていますか。

 

 前市長と現市長では、職員への対応が異なっている。(プレスネットを読んで感じたのは)職員にしてみれば、その戸惑いが、仕事にも影響を及ぼしているのではないか。

 

 市長と職員間の風通しを良くするためには、双方のコミュニケーションを図る場づくりが必要だ。ただ、市長が全職員と付き合うことは不可能に近い。そこらあたりで市長に部下の思いを伝えるのは、幹部職員や市職員出身の私の役割だと思っている。双方に思い違いからくる誤解があれば解いてもいきたい。

 

 東広島市は昨年、第5次総合計画を策定。市長と職員が一丸となってまちづくりに取り組む大事な時期だ。双方に溝が生じることはあってはならないことだし、市民のためにもならない。

 

■ 自民党市議団の役割が見えない

 ―今回の議長選では、自民党市議団が2つに割れました。

 

 過去の議長選の歴史をひもとくと、党市議団が2つに割れたのは今回だけではない。地域性や個人的な感情が絡んで割れているようだ。私に言わせると、市議会内での自民党市議団の役割がはっきり見えてこない。

 

 (現在の自民党市議団の状況は)議会運営の上では、難しさが残るかもしれないが、議長は公平でなければならないことを肝に銘じて、職をまっとうしたい。議長就任を機に、一人会派に転じたのもそのためだ。市議会は、一丸となって新型コロナや豪雨災害の対策に取り組まなければならない。市議団の現状を政争の具にしてはならない。

 

 ―東広島市では、初の自民党系市議以外の議長です。

 

 国政の場での与党、野党の関係は、市長と議会が対等な関係にある地方議会には当てはまらない。地方議会では、市長の取り組みに対して賛成なら市長与党、反対なら市長野党になるからだ。市長にしても、自民党だから、非自民党系だからという色分けはしていないだろう。その意味では、非自民系議長だから市政運営に支障をきたすとは思っていない。

 

 よく市長と議会の関係は「是々非々」でという言葉を使うが、緊張感を持って臨むことが、市民の議会への信頼にもつながる。

 

●記者の目

 新議長は、自民党市議団の分裂に伴い、棚からぼた餅式に就任した。筆者が抱いていた不安感は、分裂が政争の具にされ、優柔不断な議会運営に陥りはしないだろうか、ということだった。

 

 しかし、その不安感は、インタビューで何度も語った「強い決意」で、一掃された。周囲の誘惑やしがらみを絶つために、一人会派になったのもその表れだろう。

 

 今、市が取り組むべき大きな課題は、新型コロナ対策だ。行政はもちろん市民も経済界も一丸となって向き合わなければ、この難局は乗り切れない。一枚岩になるためには「正確な情報と事実」を共有することが肝要だ。議長にも議会をまとめるリーダーとしての期待がかかる。コロナ禍の中、名誉職の考えでは議長は務まらない。

 

(日川)

 

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