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エッセー「広島大学法学部の東千田移転に異議あり」

2021.09.02

エッセー

 

エッセー「広島大学法学部の東千田移転に異議あり」 

菅川 健二

元参議院議員、元広島大学客員教授、広大マスターズ会員

 

 このたび広島大学が法学部を東広島キャンパスから東千田キャンパスに移転させる方針を決定したことに対し、かって県行政や法学部の教職に在籍していたものとして、驚きを禁じ得ない。

 

 ご承知のように、広島大学は、戦後、旧制八校が統合して発足したため、「タコ足大学」の状態であったのを、大学紛争を契機として、医療系を除くキャンパスの大半を東広島へ統合移転し、名実ともに総合大学として新たな門出をしたのである。


 その後、大学は、国内有数の総合大学として発展し、地域に定着してきている。


 このような状況にあって、今なぜ総合大学としてコアな学部である法学部を東千田に移転しなければならないのであろうか。


 学長の記者会見や公表資料によると、東千田キャンパスを「法曹養成を核とした人文社会科学系の新たな拠点」にするとし、同キャンパスに所在する法曹養成を目的とする法科大学院と法学部の連携を強化することにあるとしている。


 しかしながら、法学部教育の観点からみると、法学部は、「法的素養と幅広い視野、判断力を養い、国際社会に貢献できる資質、能力を育みます。」(法学部案内)とあり、法曹養成とは必ずしも合致しないのである。現に同学部には、公共政策、ビジネス法務、法曹養成の3つのプログラムが設定されており、学生の進路先の実態をみても、民間企業や公務員が大半で、法曹界への進出は1割程度にとどまる。このように法学部の目的や学生の実態から考えると、移転による法科大学院との連携強化よりも、現行の総合科学部、経済学部等他学部の関係科目の履修や今日的課題である文理融合教育の実施が困難となるマイナスの面がはるかに大きいといえる。


 特に学長は、記者会見で都心に移転することにより、社会との接点の緊密化を挙げておられるが、文系・理系を問わず、多様な特性を持った学生が同じキャンパスで共に学び、友情を深めることの方が、本人にとって生涯にわたる得難い資産となり、視野の広い人材を育成する学部の目的にも合致するのではないであろうか。


 更に、移転によりグランドや図書館、福利厚生施設等共用施設の利用が不便となり、場合によっては二重投資の弊害も出てくる。大学経費の節減が要請されている今日、移転整備費に約40億円もかける投資効果が問われる。


 以上の諸点から、法学部の東千田への移転に異議を唱えるものである。


 この際、広島大学が総合大学であることの意義を再認識して、経済学部やその他の文系学部に波及することのないよう、今後、大学の進むべき方向性を慎重に決定することを切に願うものである。

 

記者の目

プレスネット編集委員 吉田実篤

 

 誰もが遠慮して言えなかった広島大学法学部移転についての疑問。
 菅川さんの意見には多くの賛同と共感が集まっているという。長期間、検討されてきた法学部移転であるから、それなりの理由があるだろう。しかし、地域住民や大学関係者からのリアクションが見えてこないのはなぜだろうか?
 菅川さんの問題提起を受け、今後、取材を進め、関係者の声などとあわせて掲載したい。

 

 

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