東広島市長選は1月30日、投開票が行われ、現職の高垣広徳市長(68)が2選を決めた。高垣市長に今回の選挙戦を振り返ってもらい、2期目に臨む決意などを聞いた。
―初当選した前回選挙より、約2000票上乗せされました。
1期目の評価と、2期目への期待を込めた票だと思っている。裏切ることのないよう、しっかりと市政を運営していきたい。 一方で、相手候補は、告示直前の立候補表明だったにもかかわらず、短期間で5600票を獲得した。候補者への支持以外に、私の1期目への評価も表れており、重みのある数字だと受け止めている。
―投票率は過去最低の25・52%に終わりました。
コロナ禍の環境下では、やむを得ない数字で、過去の投票率と比較論をしても仕方がない。ただ、そうした環境下でも25%はリスクを覚悟で投票した人たちで、政治的に意識の高い人たちだと思っている。25%の層をどう広めていくかが、投票率アップへの課題だろう。 一方、今回の選挙では、政治的な関心は、人と人が接触するなかで高まっていくことを再認識、一人一人と接触する従来型の、いわゆるどぶ板が、選挙の基本だと強く感じた。SNSだけでは、投票率を上げる武器にならないことも分かった。
―2期目で取り組む施策は。
選挙戦では、6つの重点施策を掲げて戦ったが、一番は市民の命と暮らしを守る体制を整備したい。ハード面では、土砂災害を想定し、砂防・治山ダムを計画的に整備する。黒瀬川の治水にも乗り出す。黒瀬川上流域は、市街化調整区域内であっても都市化が進展している。その際に雨水をためる調整池を造らないまま開発が進んでいるケースもある。市で調整池が造れるよう用地交渉を行い、総合的な治水を図っていく。
ソフト面では、危険地域に住んでいる人たちに、DX(デジタルトランスフォーメーション)を活用して、災害がダイレクトに伝わる仕組みを構築する。地域医療については、医者の確保が大きな課題。広島大と連携しながら、医療人材を、地域エリアで整備できるようにしていく。
2番に挙げたのは仕事づくり。1期目に続いて全力を尽くす。ハイビズをさらに強化し、中小企業者を支援するし、新たな企業立地にも力を注ぐ。農業については、米だけでは収益を上げることが難しい時代。野菜や果物と複合した付加価値の高い農業を、観光との融合を図りながら進めていく。
―都市と周辺部との地域間格差も課題です。
格差は、これまで都市と周辺部のインフラ整備の差をみて、比較論として論じられてきた。ただ、私は、コロナ禍で価値観が変わり、周辺部の持つ豊かさが再評価されるべきだと思っている。
例えば、周辺部の古民家を借りて、パソコンを使って遠隔授業を受けている大学生も出てきている。豊かな自然に、先端技術を活用すれば、中山間地域にも光を当てることができる。
まずは福富町に、民間企業と協力して「生活デザイン工学研究所」を設け、先ほど話した農業もそうだが、地域にある課題を先端技術で解決できる方法をデザインし、人口が減少している地域に、若い人たちが入ってくる展望を示したい。
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