ある日の
ただいま~。いちろうはタブレットで宿題をしているのね。
そう! お母さん、ここが分からないんだけど…。
え~っと、ちょっと待って。スマホで調べてみるね。あ、こうじゃない?
そういうことか! 分かったよ。ありがとう!
あれ、お父さんは何してるのかしら?
リモートワークでパソコンをしているよ~。
あ、お母さん、気付いちゃった! 今、出てきたものには、全て「半導体」が使われているわ!
半導体ってなぁに?
電子部品の一つだよ。半導体は今、世界中で必要とされていて、たくさん作っても作っても売れている状況だって、ニュースで聞いたよ。
学校のみんなもタブレットを持っているし、パソコンがある家もたくさんあるよ。今、半導体は人気者なんだね!
そのスマホやタブレットやパソコンに使われている半導体を作っている工場が、東広島市にあるんだよ。
そうなんだ、すごいね!
東広島の工場見学
私たちの身の回りにあるスマホや家電などの電子機器に使われている半導体。半導体の一種「DRAM(ディーラム)」というメモリ部品が、東広島市吉川工業団地の「マイクロンメモリジャパン広島工場」で作られています。DRAMのすごいポイントなどをリポートします。
DRAMとは、一時的にデータを保存できる半導体です。パソコンやゲーム機、スマホ、家電など、さまざまなものに使われています。
半導体って?
半導体は情報の記憶、計算、制御など、知的な情報処理機能を持っています。家電などの身近な機器から、医療機器や、自動車、社会インフラ(暮らしを支える仕組み)まで、半導体が担う役割は多岐にわたり、現代の私たちの生活に欠かせないものです。
DRAMは、指先に載るぐらいの小ささ!
こんなに小さくて、たくさんのことを覚えられるってすごいね!
ここがすごい ①
高機能なのに小さい
DRAMは高機能なのに小さいので、さまざまな電子機器に使われています。そのおかげで、ゲーム機やスマホなどの薄型化と小型化が実現できています。
ここがすごい ②
大容量のデータが保存できる
1枚のDRAM(8GB)があると、約640億ビットの情報量を、一時的に覚えて処理できます。 これは新聞紙約25年分の情報量と同じです。
ここがすごい ③
高速でデータ処理ができる
例えば、あるDRAM製品は3200メガヘルツの周期で動きます。つまりは1秒間に、約32億回、情報が読み書きできるということです。
DRAMが作られる様子
材料はこれ!
ウエハー
ケイ石という鉱物を原料とする単結晶シリコンを、薄くスライスした円盤状の板のこと。1枚は直径約30センチで、約1000個のDRAMを加工することができます。
DRAMは「クリーンルーム」という、ホコリの付着を防ぐために、高い清浄度が保たれた空間で作られています。
ウエハーは、フープという箱に入れられて、工場内の天井に敷かれたレールを移動します。 この「OHT」という名前の装置は、リニアモーターカーと同じ原理で動いています。
世界が注目するマイクロンメモリジャパン広島工場に聞いてみた。
マイクロンは米国アイダホ州で創業し、世界17カ国に拠点を持っている、世界第4位の半導体企業です。マイクロンメモリジャパン広島工場は、世界最先端の半導体メモリの技術開発と量産を行っており、世界のマイクロンの中でも重要な工場です。広島工場についての素朴な疑問を同社に伺いました。
Q1.どうして八本松に工場を作ったの?
①安定した「水」と「電気」が供給できる、②地震が少ない、③広い道路があり物を運ぶのが便利、④大きな土地がある-といった条件がそろった場所だからです。
Q2.どうして夜も工場を動かしているの?
高品質の半導体を製造するためには、工場内の温度や湿度などの条件を一定に保ち続ける必要があります。そのため、工場内にある製造装置を止めることができないからです。
Q3.製造中、何に気を付けている?
製造装置の状態と、ごみの発生に気をつけています。DRAMはとても小さな製品なので、製造装置の調子の変化や、わずかなごみの発生は製品不良につながる可能性があります。
Q4.何の煙が上がっているの?
工場では、水を使って設備を冷やしています。水が蒸発すると水蒸気になります。とくに寒い日は、水蒸気が周りの空気で冷やされて、白い煙のように見えています。この煙は水の粒なので、まったく無害です。工場の中ではさまざまな薬品・ガスを使っていますが、きれいな状態にして廃水や排気をしています。工場を動かすために太陽光発電も取り入れており、環境に配慮して工場を動かしています。
Q5.世界最先端の技術開発って?
マイクロンメモリジャパン広島工場では、世界のさまざまな拠点と協力しながら、世界最先端の半導体メモリの「微細化」(小さな面積の上にたくさんの回路を作ること)と量産に取り組んでいます。