米半導体大手のマイクロンテクノロジーの子会社で、東広島市に本社を置くマイクロンメモリジャパン(同市吉川工業団地)(以下マイクロン)は、同市安芸津町三津湾の水質を改善する「泥干潟改善プロジェクト」に90万米㌦(約1億2000万円)を寄付することになり12月2日、東広島市役所で記念セレモニーを行った。(日川)
泥干潟改善プロジェクトは、流域圏環境再生センター(山本民次〈広島大名誉教授〉所長)が中心になって取り組む。計画では、三津湾の風早地区の干潟2万6000平方㍍を活用。生物にとって有毒な硫化水素を抑制する効果があるカキ殻を、干潟の砂地に混ぜて敷き詰める。
敷き詰めるカキ殻は、熱風乾燥させて粉砕した製品。2023年・24年・25年の各6月の3回に分け敷き詰めていく。広島県環境保健協会が調査を行いながら、28年3月までの5年間で硫化水素の除去と水質の改善を図っていく。
同センターでは、09年に広島市の瀬野川河口で実証実験を行い、生態系が回復したことを確認している。山本所長は、「硫化水素は三津湾の漁業に深刻な影響を与えている。プロジェクトで水質・底質を改善することで、生物が戻り、生態系の循環が回復する」と期待する。プロジェクトでは、市民や環境団体、マイクロンの社員も参加して、干潟での環境教育も行っていく。
一方、マイクロン広島工場(東広島市)では、11月に最先端の半導体製品の量産を開始。追加の設備投資の計画もあり、政府も半導体需要に対応するため、投資計画への助成を決めている。同社では、こうした増産に伴って、工場で使用する水の需要が拡大していくことから、将来的にはすべて再利用の水で工場を稼働させていくという、野心的な目標を掲げる。
今回の資金提供は、同社が掲げる水資源回復プロジェクト(地域貢献活動)の一環で、国内では初めての出資となる。記念セレモニーで会見した、同社のジョシュア・リー代表取締役は「泥干潟改善プロジェクトは、水質環境の改善で持続可能な社会の実現を目指すマイクロンの思いと一致する。その一役を担うことができて光栄だ」と話している。