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4月23日投開票の東広島市議選 新人立候補予定者の思いに迫る「ムーブメントを起こしたい」 30代、女性は過去最多

  • 2023/02/27

「若い声を市政に」共闘の動きも

 任期満了に伴う東広島市議選(4月16日告示、4月23日投開票)に立候補する顔ぶれがほぼ固まった。2月18日現在、定数30に対して過去最多の39人(現職24、新人14、元職1)が立候補の意志を表明している。今回の市議選の大きな特徴は、新人の立候補予定者を中心に、これまでになかった動きがあることだ。市議選に一石を投じようとする、新人の立候補予定者(本文は予定者で表記)たちの思いに迫った。

 表は2月18日現在での新人・元職の予定者の顔ぶれだ。15人以外にも、豊栄町で新人、高屋町で元職がそれぞれ立候補に意欲を見せている。新人の出馬では、過去最高だった2015年選挙の16人に迫る勢いだ。新人の予定者のうち、30代が5人を占めるのが、今回の市議選の特徴の一つだ。前回選挙の3人を上回り、過去最多の人数となる。

新人・元職の予定者

 ある女性予定者は、安定した職場を退職、退路を断って挑む。「30代の視点で、若い人たちが政治に参画できるまちをつくっていきたい」と目を輝かせる。男性予定者の一人は、市の14歳以下の人口が県内で3番目であることに着目。「20年、30年先を見据えたまちづくりには、僕ら若い人たちの力は不可欠」と意気込む。

 前回市議選(19年)で、交流サイト(SNS)を使い政策を発信する新しい選挙スタイルで初当選した30代市議の成功体験も、今回の30代の立候補を後押ししているようだ。ある男性予定者は「若い人でも当選できるという勇気をもらったし、政治を身近に感じる動機付けになった」と話す。

 今回、出馬を予定する30代の間では、現職30代市議の呼び掛けに共闘する動きも広がる。SNSを活用する際には、互いに『30代頑張ろう』とタグ付けをして発信するという。現職唯一の30代市議は「議会の30代の構成を点から面にできれば、若い人の思いが反映されやすくなり、議会も変わる。そのためにも共倒れだけは避けたい」と共闘する胸の内を明かす。

明確な目的意識持ち挑戦 地盤にとらわれない動き

 もう一つの大きな特徴は、地盤(組織や地域)にとらわれることなく、明確な目的意識を持って立候補する人たちが多いということだ。特に新人では過去最多の5人が出馬予定の女性に顕著だ。市議選では、地域の支持は選挙を勝ち抜く大きな武器の一つだが、14人の新人予定者のうち、現職の引退や死去に伴い、明確に既得の地盤を引き継ぐ後継予定者は5人に過ぎない。

 ある女性予定者は、現職市議と地域が競合するが、「現職市議には思いを訴えても全く届かなかった」不満が、出馬への動機になった。「私のやりたい政策を前面に打ち出して広く市民に訴える。市政を本気で考える人たちが当選する選挙であってほしい」と訴える。

 別の女性予定者は、ある分野に精通した現職市議が存在しないことに危機感を抱いて立候補することを決意。「私が、その分野のエキスパートになって、市民の本音を市政に反映させたい」と意気込む。母親の代弁者として母親目線での子育て策を訴える女性予定者もいる。

現職市議

投票率の動向がカギ

 では、「市議会に風穴を開けたい」と話す新人予定者の思いは届くのか。大きく左右するのは投票率の動向だろう。表は直近3回の市議選の投票率だ。前回は過去最低の41・69%に終わった。

直近3回の市議選の投票率

 一般的には、低い投票率は、いつも選挙で投票する人が投票し、あまり投票に行かない人は投票しないという傾向になるといわれる。つまり、投票率が低いと、選挙で確実に投票する強い地盤を持った立候補者が当選しやすくなり、投票率が高くなればなるほど、既得権の弱い立候補者も当選の確率が高くなるというわけだ。

 ある現職市議は、次のように指摘する。
 「仮に投票率が50%前後になれば、地盤だけでは当選はおぼつかなくなる。きちんとした政策を持っていないと票の上積みは厳しい。これまでの選挙の在り方に一石を投じる選挙戦になるかもしれない」

 ※3月9日号では「現職市議の動向」に迫ります。

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