100円ショップ「ダイソー」の礎を築いた、大創産業(東広島市)・創業者の矢野博丈さんが2月12日、心不全のため亡くなった。80歳だった。生前の矢野さんと親交が深かった高垣広徳東広島市長に、故人をしのんでもらった。
魅力と情熱にあふれた起業家
東広島市長 高垣 広徳
株式会社大創産業創業者の矢野博丈様が、令和6年2月12日ご逝去されました。ここに謹んで哀悼の意を表しますとともに、ご生前のご功績をしのび、追悼の辞を申し上げます。
矢野様は、幼少期を東広島市福富町で過ごし、1972年に本市で「矢野商店」を創業され、100円均一ショップの先駆けとなる「ダイソー」を誕生させました。当時はまだ珍しかった100円均一という新しい業態を創造し、生活雑貨や日用品を低価格で提供することで、多くの人々の暮らしを豊かに潤し、生活の質の向上に大きな貢献を果たされました。
9割以上が自社開発で品質がよく低価格なダイソーの商品は、国内外で圧倒的な支持を得て、現在では世界中に約5300店舗を展開し、生活インフラとして評価されるブランドにまで成長しました。
また矢野様は、こうした業績が認められ、2018年に「EY Entrepreneur Of The Year」の日本代表に選出されておられます。これは、魅力あるアントレプレナー(起業家)の情熱にあふれたストーリーに注目し、その功績を国内外に発信するもので、常に新しいアイデアに挑戦し、100円均一業界をけん引してきた真のアントレプレナーである矢野様にふさわしいものであります。
地域社会におきましては、ダイソーにおける雇用創出は言うに及ばず、さまざまな地域貢献活動にも取り組まれました。なかでもスポーツの分野では、天皇杯全国都道府県対抗男子駅伝や毎年東広島運動公園を発着するコースで行われる中国中学校駅伝に協賛するほか、社内に駅伝部を創部されるなど、地域スポーツの振興においても大きな功績を残されました。
矢野様とは、私が東広島市長に就任する前より親交があり、個人的にご自宅にお招きいただき、お食事を共にさせていただくこともありました。どんな時も気さくにお話しいただき、その温厚なお人柄とちゃめっ気いっぱいの笑顔が今でもしのばれます。
東広島市は今、矢野博丈様の突然の訃報に接し大きな喪失感に包まれています。
しかし、矢野様の残した偉大な功績、そしてサービス精神旺盛で周囲への感謝の気持ちを忘れない温かい人柄は、永遠に私たちの心に刻まれるとともに、大創産業は、これからも世界中の人々の暮らしを豊かにしていくことでしょう。
ここに謹んで、ご冥福をお祈り申し上げます。