カキ殻を使って東広島市安芸津町の三津湾の水質改善を図るプロジェクトが進められている。東広島市の環境コンサルタント「流域圏環境再生センター」(山本民次所長)が5カ年計画で取り組んでおり、湾内の風早干潟2万6000平方㍍に粉砕して熱風乾燥させたカキ殻をすき込む工事の1回目を終えた。来年、再来年も同様の工事を1回ずつ行う計画。7月16日には環境学習イベントを初めて行った。
昨年、同センターがマイクロンメモリジャパン(同市吉川工業団地)からの寄付を受け、プロジェクトが始動。ヘドロのような状態で、夏には生物にとって有毒な硫化水素が発生する同干潟に、硫化水素を低減させる効果があるカキ殻をすき込むことで水質を改善する。「生物が増え漁獲量の増加が期待できる」と山本所長。全国で初の取り組みだという。
環境学習イベントには、広島湾さとうみネットワークの会員やマイクロンメモリジャパンの社員ら約30人が参加。山本所長などがカキ殻の水質浄化効果や同湾の生物について説明した後、干潟にカキ殻の製品360㌔をシャベルなどですき込む体験や引き網をして、スガイ(巻き貝の一種)など海の中にいる生き物を観察した。同市西条町の橘清美さん(34)は「広島特産のカキの殻を有効利用して、循環させる取り組みが勉強になった」と話していた。
今後、同様のイベントを年2回程度、調査データを交えた報告会を年1回開く。
(山北)