FM東広島・毎週火曜日午後6時台に放送している『DOGENSURU NIGHT』内のコーナー『喫茶897』では、東広島の企業・団体の方にお越しいただき、色々なお話を伺っていきます。
第1回のお客様、株式会社サタケの顧問・広報フェロー宗貞毅(むねさだ たけし)さんに、サタケの企業理念やビジョン、宗貞さん自身が大切にしていることなどお話しいただきました。
※インタビュー内容は、FM東広島YouTubeチャンネルで音声として聞くことが出来ます。
「実はここにもあそこにも……」幅広い製品を生み出すサタケの精神
―サタケというと、お米のイメージはあったのですが、お米と一口に言っても色々な機械があるんですね。
私どもサタケの製品というのは、一般の方、消費者に向けた製品ってほとんどないんです。
けれど、皆さんに間接的に縁があるものも実はたくさん作っています。我々は製造会社ですので基本的には機械を作っているんですが、その機械というのが食に関係するもの。
特に大きいのはお米、ですよね。米を乾燥したり、籾殻を取ったり、あるいは精米機であったり、あるいは私も開発したことがあるんですが無洗米製造装置であったり、そういったものを作っています。
皆さんが安心しておいしいお米を食べられる、そういうお手伝いをしているというのがサタケなんですね。
―驚いたのは、実はお米の機械や商品以外にも、モーターなんかも作られているんですよね。
ご存知ない方がほとんどですし、我々も(モーターについて)特別にPR、広告宣伝してるわけではありません。じゃあ、「なんで作ってる?」「どうして?どこに使ってるの?」という疑問があると思います。
私達が作ってる(米に関する)機械の動力はほとんどモーターなんですね。
ですからそのモーターに対して何かしたいなとか、いいモーター作りたいな、という思いが漠然とありました。ただ、モーターってたくさん大きなメーカーが作っていらっしゃいますので、我々がただ作っても需要はないんですね。
ですから、世の中にない特別なモーターを作りました。
簡単に言いますと、モーターを動かした時に、『ほとんど電力は食わないのに力がある』というものを作ったんです。それを、主にJRの電車とか新幹線などに使っていただいています。
―サタケの米選別機は、CMも独特で印象に残っている方も多いと思います。
―その選別技術は他業種も注目するほどで、本社にあるサタケの様々な選別のための機械が集められた選別センター。そこには米以外の色々なものも選別できないかと様々な企業が相談にやって来るというお話聞きました。この技術力の高さはどういうところから生まれてくるものなんでしょうか。
サタケの綱領の1つであり、いつも私達の心の中にある、基本的な心構えの中で一番大きいのが、『我々は世界最高の商品を開発普及する使命がある』。
単に物を作る、とか、単に売るじゃなくて、『世界で一番いいものを作ろう』という、なかなか難しいんですけど、ただそれをずっと唱え続けていることが要因の一つかと思います。
それからもう一つ、これは我々従業員が仕事をする上の心構え、サタケ精神という形で三つあるんですけど、一つが『不可能はない』ということ、それから二つ目が『謙虚である』ということ。そして最後が、『気のつく人になる』。
これらの心構えを持って、私達サタケの社員は仕事に臨んでいます。
127年続いているサタケが大切にしているもの
―宗貞さんから奥様やお孫さんの話もよくお伺いするんですが、家族愛が素晴らしいなと思っています。今年も何か記念すべき年らしいですね。
そうですね、愛する妻とですね、結婚して今年40年を迎えました。40年というと、よく「あれから40年」という言葉がありますが、私のわがままを許してくれて、ちゃんと面倒見てくれた女房に大変心から感謝して、40年記念としてちょっと旅行に行ったりとか、あるいは一緒に食事に行ったり、今年はそういう記念の年にしようかなと思って、今まで2回旅行行きましてね、春と夏。秋にも近場ですけど予定してるんです。
―大切にされてらっしゃいますね。そして、宗貞さんはもちろんのことなんですが、サタケ自体も自分たちの家族そして社員全員を大切に、さらに広がって世界中の家族になろうという風に見えるんですが、今後このサタケは、どういうビジョンを持って、どういう方向に進もうと思っているんでしょうか。
まずビジョンの前に、今年で創業127年なんですね。
これは長いと思います。決して短くないと思うんですけど、やはりこれをもう100年とか、もう200年続けたいと思っているんですね。
というのは、会社って単に長く続けばいいのか。そうじゃないと思うんです。会社というのは世の中、社会にありますから、社会にとって必要じゃないとやっぱり淘汰されるんですね。
ですから、社会に貢献、いい製品を出して、そして認められたいという我々の思いが127年という歴史に繋がったと思っています。この思いや製品作りをもっともっと続けていきたいというのがまず根底にあります。
それから、2011年から会社が取り組んでることなんですが、『会社を取り巻く全ての人を幸せにする』という経営方針を掲げています。さらに言うと、その中の第1番目が『社員とその家族を幸せにする』。これが一番にきてるんですね。
普通だったら、「いやお客様が大事でしょう」という風に思われると思います。
色々な考え方があるし、それも正しい。我々の考えが絶対正しいとは思っていないんです。ただ、我々としては、自分たち従業員とか会社の者が、嫌々、楽しくないのに仕事をしていると、お客さんに対して良い商品や良いサービスを絶対に提供できないと思ったんですね。
ですから我々の満足、喜びがあって、そのパワーで、(127年の歴史を)続けていくということがいい形なんじゃないかという思いで取り組んでいます。
最終的には、人の心が決める
―サタケで注目されているものの一つがMILSTA(ミルスタ)ですよね。
サタケの技術や発想を導入したモデルプラントということなんですが、精米に関する機械が集まった巨大なプラントを魅せるものにする。その発想がすごいなと純粋に思いました。また、実際に多くの人がMILSTAのパフォーマンスに感動し、特に海外の企業との商談もすごく盛り上がると聞きました。
ですが、聞いたところによると、このMILSTAは大規模がゆえに、(コスト面を考慮して)作っていいのか作るべきなのか、という声も上がったらしいですね。その中で、宗貞さんが奮闘されていたというお話も聞いたんですけれども、大変だったんでしょうか。
それは多少デフォルメされています(笑い)
というか私1人でやったことじゃないです。が、ただ私に限らず、何かその物事を達成する場合には、単純な数だけではなくて、やはり『心に(確かな思いを)持った人』がいないとなかなか成就できないんですよね。これは作った方がいいなとか、こういう見せ方をし、こういう感動を与えた方がいいという思いは強くありました。
でも、本当にうまくいくんだろうかという不安、そして、企業ですから、当然コストとのバランスも考えなければいけない。はっきり言ってコストを回収できるかどうかはわからなかったんです。
ただ、我々は広報なので。
物を売ることはできないけれども最終的に買うのは、BtoBであろうとBtoCだろうと『人の心が決める』わけですから、人の心を感動させたり、あるいはそのきっかけになったり、そういったものを我々が提供できたらという思いが強かったということですね。
サタケがこれから作り出す未来
―宗貞さんにとって、このサタケという会社を一言で表すならどういったものですか。
難しいですけど、一言で言うと、『真面目な田舎の技術集団』ですね。
―真面目な技術集団。確かに、色々な方向で極めようとされていますし、ミルスタに関しても最先端の広報としての表現方法なんじゃないかと思いますね。
―最後に、メッセージをお願いできますでしょうか。
(サタケが創業して)127年きましたけれども、これからも日本だけじゃなくて世界中の食文化の発展に貢献したいというのが一つの思いです。日本の場合農業の衰退、世界的には気候変動、今年も暑いですが、それによって食糧問題がもっともっと危機的になると思うんです。
だから、それに対して我々微力ですけれども、より良い製品で少しでも良いおいしい安全なものを提供したいという思いがあります。それを貫き続けたいです。