文化庁の文化審議会は10月20日、東広島市西条町の「西条酒蔵群」を新たに国の史跡に指定するよう答申した。全国に銘醸地とされる地域は多いが、酒蔵が産業遺産として史跡に指定されるのは、全国で初めてのケースとなる。
指定される西条酒蔵群は、1675年建設と伝えられる白牡丹酒造延宝蔵、賀茂鶴酒造一号蔵(1873年建設)、旧広島県醸造試験場(1929年建設、賀茂泉酒造所有)、福美人酒造大黒蔵(1925年建設)の4カ所。
近世から近代の酒造施設が密集して存在し、旧西国街道沿いの町家の背後に建てられた小規模な酒蔵から、近代以降町並みの背後の農地を利用した大規模な酒蔵に発展した変遷を理解できることや、江戸時代に始まり現代に続く近代酒造業の拡大の変遷を追うことができ、その景観が良好に残っていることが評価された。
東広島市内の国指定史跡は、三ツ城古墳(西条中央7)、安芸国分寺跡(西条町吉行)、鏡山城跡(鏡山2)に次いで4件目。
今後は、2024年4月以降に保存活用計画策定に向け審議会を設置し、25年度以降に保存活用計画を策定し、西条酒蔵群の保存と活用を図る。
高垣広徳市長の話
酒蔵地域には、煉瓦や煙突など酒蔵にとって重要な建造物がたくさんあり、保存は市にとって大きな課題だった。今回、国の支援で施設の保存、活用ができることをうれしく思う。
東広島市は灘、伏見と並ぶ3大銘醸地の一つだが、必ずしもそのことが伝わっていない現実があった。産業遺産として全国で初めて指定されたことを大いにアピールし、全国から東広島に人を招くことができるよう努めていく。