医療機器メーカーで転倒予防靴下などを製造するコーポレーションパールスター(本社・東広島市安芸津町三津、新宅光男社長)が開発した、滑落を予防する「楽位置楽座」が、市内の特別養護老人ホーム・桜が丘保養園で評判だ。
楽位置楽座は、2018年に開発。むれのない超極細繊維のニットで編み上げ、椅子などに固定して据えることで腰の位置のずれを防ぎ、椅子や車椅子、ベッドからの滑落対策として売り出した。その後、椅子に固定しなくても、ずれないよう改良を重ねてきた。
桜が丘保養園では、21年から入浴介助に使用。家庭的な入浴ができる「個浴」支援の際、シャワーベンチからの滑落を防止するため、楽位置楽座を使っている。
楽位置楽座はニット素材のため、ニットが収縮する洗濯後の高温タンブラー乾燥は不向きと見られていたが、同園では収縮することでさらに滑り止めの効果が高まるとして、80度でタンブラー乾燥し、繰り返し使用している。
自立支援にかじを取る、来春の介護保険法改正を視野に新宅社長は「楽位置楽座は、熱消毒はできないと思っていたので、入浴介助に使用できることは想定外だった。現場の声の大切さを改めて再認識した。桜が丘保養園の取り組みをモデルケースに、法改正を販路拡大の追い風にしたい」と話している。
(日川)