東広島市高屋町白市地区に伝わる伝統文化「白市歌舞伎」(同実行委員会主催)が11月5日、地元の高屋東小体育館で上演された。出演者とスタッフが7カ月の準備期間を経て挑んだ公演に、観客からは惜しみない拍手が送られた。(山北)
第1部は、中学1年~50代の7人が演じる大人歌舞伎で、家族愛を描いた「まぼろしの仙太」(脚本・地域住民)。第2部は、市立高屋東小と板城小の3年~6年の10人が演じる子ども歌舞伎で、盗賊を主人公にした「白浪五人男 浜松屋の場」。 大人歌舞伎では、迫力の演技におひねりも飛び、役者が登場すると「待ってました!」と客席から掛け声が上がった。
子ども歌舞伎では、普段使わない言葉を使った長いせりふもしっかり覚えて熱演し観客の心をつかんだ。呉服屋に訪れた娘が女装した盗賊だと見破られた場面では「知らざぁ言って聞かせやしょう」とたんかを切ると客席から拍手が沸き起こった。
同実行委員会事務局の福村昌生さん(45)は「地域の将来や子どもたちの未来のために白市歌舞伎を伝承し、住み良いまちづくりにつなげていきたい」と力を込め、鑑賞した同町高屋堀の布野鉄兵さん(47)は「笑いのネタを取り入れて演じたり、せりふや内容を分かりやすくしたりと、歌舞伎のイメージが変わった。とても楽しかった」と喜んでいた。
白市歌舞伎の発祥は江戸時代。途中で途絶えたが1993年、地元の有志が「白市の文化を考える会」を結成し毎年公演。2015年を最後に担い手の高齢化などで休止したが19年再復活した。