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【特別座談会】50周年の東広島、さらなる発展へ

  • 2024/01/10

2023年の振り返りと、24年への期待

 2024年は東広島市が誕生して50年の節目の年。市制が施行されたとき、約8万人だった人口は、20万人に迫るまでに成長した。教育関連事業を展開し、東広島市のまちづくりに詳しいオーエヌ総合教育センター代表の奥内博之氏と、東広島デジタル編集長の鈴木英士氏に、2023年を振り返ってもらいながら、24年への思いなどを聞いた。 (聞き手はプレスネット編集委員・日川剛伸)

 日川 昨年を分野ごとに振り返っていきましょう。政治では、次の衆院選の新広島4区に、自民党が寺田稔氏を擁立することを決定。東広島市が地盤の新谷正義氏は比例区に回ることになりました。
 奥内 大切なのは、私たち東広島市民の声をしっかりと国政に届けてくれるかどうか。その役割をきちんと果たしてくれれば、と思っています。
 鈴木 東広島市にとっては、国に届けるチャンネルが増えたと理解しています。
 日川 市議選では40人が立候補し、若い世代や女性を中心に世代交代が進みました。
 鈴木 若い人や女性に期待したいという声を強く感じた選挙戦でした。
 奥内 窓を開けて空気を入れ替えるように、東広島の政治に新しい風を吹き込んでほしいですね。
 鈴木 改選から9カ月が経ちましたが、議会内の雰囲気は変わったなと。前例を踏襲するのではなく、疑問に思ったことをぶつけて、変えていこうという姿勢が強くなってきたと感じています。
 奥内 私は市民であり、経営者であり、親であるという目を持っています。それぞれの分野で精通した市議と情報交換ができることは活力になります。

経済への期待

 日川 経済面では、大きなニュースに東広島・安芸バイパスの開通が挙げられます。
 奥内 新たな流通ルートの形成やスムーズな救急搬送など効果は計り知れないですね。
 鈴木 人の往来で見ると、仕事は広島市だけれど住居は東広島市という人や、逆に住居は広島市だけれど仕事は東広島市という人が増えることで、経済効果が生まれてくることを期待します。
 日川 もう一つ、米マイクロン・テクノロジー社が、吉川の広島工場に5000億円の投資計画を発表しました。
 奥内 大手企業の雇用の場が生まれることで、中小企業にもその余波が伝わり、大学生の市内企業への就職率が高まれば、と願っています。
 鈴木 雇用面では、市内の大学で学んだ学生が技術者として大手半導体の工場で働くという流れができることで、大学とまちづくりが一体化していく気がします。
 日川 新型コロナウイルスの法的な分類が5類に移行した年でもありました。
 奥内 酒まつりが4年ぶりに制限なく開催されるなど、今まで下を向いていた市民が笑顔になっているな、ということを感じた1年でした。
 鈴木 昨年は、イベントの回数に呼応するように、笑顔の人が増えたな、という印象を強く持ちました。
 日川 スポーツの分野では、多くの子どもたちが、プレスネットの紙面を飾りました。
 奥内 もっともっと東広島の子どもたちは活躍できると信じています。
 鈴木 印象的だったのは、中国中学駅伝の上位入賞校の多くが、東広島市の学校で占められていたこと。子どもたちを指導するシステムがしっかりできている印象を持ちましたし、他の競技でも練習しやすい環境作りが整ってきていることを実感しています。
 日川 今年は市制施行50周年の節目の年です。50年で印象深い出来事はありますか。
 奥内 酒まつりですね。私が関わった第1回目のとき、お酒を試飲するコーナーへの出品を全国の酒蔵に手紙を出して募ったのですが、返事が返ってこなかったのが大半。お酒を集めるのが大変だったことを、昨日のことのように覚えています。小さな出発点なくして、今の酒まつりはなかったと自負しています。

魅力と課題

 日川 50年の区切りを迎え、東広島市が自慢できる魅力と見えてきた課題は何でしょう。
 鈴木 大学生を含め若い人たちが多いのは強みですね。その若い人を中心に、例えば外国人市民が困っていれば手助けをしてあげるとか、市民自らが市の課題に目を向けて、まちづくりに参画する人が多く、市の誇りにしてもいいと思っています。
 一方で、気にかけているのは、外国人市民の子どもへの教育。まだ十分ではなく、今後も、外国人市民が増えることを考えると先送りできない課題です。
 奥内 教育を受けるのは子どもたち。大人の目線で物事を見ていくのはやむを得ないところはありますが、子どもたちを主体に物事を考えないといけません。
 日川 市民サイドから20
24年の東広島市に期待することは。
 奥内 子どもを安心して産んで育てられる街です。東広島は子育てというイメージはありますが、安心して産める街というイメージはわきません。産婦人科を中心とした医療の充実にもっと目を向けてほしいと願っています。
 鈴木 さらに子育て施策を充実、加速させるためにも、国の動きと連携しながら、東広島では何が不足して、何を政策として考えなければならないのかということに向き合っていく1年に、と思っています。

profile

奥内 博之氏
おくうち・ひろゆき オーエヌ総合教育センター代表取締役、オーエヌ保育園理事長。「いじめ・不登校」「少年犯罪」などの講演会講師、広島少年院非常勤講師なども務める。女子サッカークラブAYAMEでサッカーの指導も行う。

鈴木 英士氏
すずき・えいじ 東広島市役所に勤務後、「大学生と地域をつなぐカフェ」OluOlucafeを設立。ひがしひろしま学生×地域塾の企画運営を行い、コーディネーターとして、学生と地域のつながりづくりを行う。2019年に東広島市議会議員に初当選し、現在2期目。東広島デジタル編集長。

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