東広島市は、同市を流れる瀬野川水系で国の暫定指針値(1㍑当たり50ナノグラム)を上回る有機フッ素化合物(PFAS)が検出された問題で東広島市の高垣広徳市長は2月22日、記者会見を行い、新たに米軍川上弾薬庫近くの複数地点の地下水(井戸水)で暫定指針値を上回ったことを発表し、今後の対応策を示した。
発表によると、1月12日以降に調査した、市内の58地点の地下水のうち、今回14地点の結果が判明した。このうち、12地点で指針値を上回り、指針値の300倍となる1万5000ナノグラムを検出した地点もあった。
市では昨年11月の調査で、瀬野川水系の2地点で国の指針値を上回る有機フッ素化合物を検出したことから、昨年12月に同水系の上流域の河川や水路11地点で追加調査を実施し、米軍川上弾薬庫そばの水路で指針値を80倍上回る1リットル当たり4000ナノグラムのフッ素化合物を検出するなど。3地点で指針値を上回った。
さらに、瀬野川流域の58地点で地下水の調査を今年1月12日から16日まで行い、2月5日判明分を合わせて57地点で結果が判明。うち15地点で指針値を上回った。いずれも住民や事業所が飲料水などの生活用水に使用している、という。
こうしたことを踏まえ、高垣市長は、調査結果を井戸の所有者に伝え、飲用を控えるようよびかけるとともに、飲料水を配布。住民に上水道の接続を検討するように伝える。
さらに、県と連携しながら発生源の特定を急ぐとともに、汚染範囲を特定させていくため、専門の学識経験者らで、今月中に委員会を設置。委員会の意見を踏まえながら、川上弾薬庫東側を流れる深堂川やその周辺の地下水の調査も行い、汚染範囲を特定していく。また、指針値を超えた井戸水を使用する世帯の希望者を対象に健康診断も検討する。
一方で、市では発生源が川上弾薬庫にあることも想定し、防衛省などを通して、米軍に対し有機フッ素化合物を含有する泡消火剤使用の有無などについて回答を依頼している。
記者会見で、高垣市長は「飲料水としては、全国的にも極めて高い数値が出たことを憂慮している。地下水の汚染が明らかになり、汚染範囲を特定していくことが重要になると捉えている」と強調した。
有機フッ素化合物は泡消火剤や金属メッキ処理など幅広い用途で使われてきたが、分解されにくく人や動物への毒性や蓄積性が疑われている。