注文住宅メーカーの創建ホーム(本部・東広島市西条土与丸)は、2023年12月下旬、創業者の山本静司氏(76)が会長に退き、長男の山本慎氏(50)が新社長に就任した。かじ取りを担う山本慎氏に、新社長としての思いや、今後の戦略などについて話を聞いた。(日川)
-社長に就任して3カ月余りが過ぎました。
前任の専務の時よりも、人と会う機会が多くなり、想像した以上に忙しいというのが実感だ。ただ、いろいろな人との出会いには、経営に結び付くヒントが隠されているし、会社の運命を変える力にもなる、と思っている。「人との出会いを大切にする」。常に私の心に留めている言葉だ。
-何から着手されますか。
2年前から取り組んでいるデジタルトランスフォーメーション(DX)を軌道に乗せていきたい。これまでの数字を積み重ねるような集計の仕事は、例えば施工と営業には、それぞれ専門的なツールを導入し、AI(人工知能)が役割を担い、業務の効率化を図っていく。システム化に伴い、俗人的な仕事から開放された人には、業者の選定やコストパフォーマンスなど分析する仕事に回ってもらう。それが弊社の進めるDXだ。
建設業界では、労働力不足が懸念され、加えて働き方改革も叫ばれている。時代の流れを見据えたとき、DXは不可欠となる。
-社員に訓示していることは。
自ら考え行動できる人になれと。これまでは与えられた仕事をこなすことで評価をしてきたが、これからは仕事を生み出す発想を持たないと、年々変化するお客さまの要望に応えていくことはできない。
社員には、主体性を身に付けてもらうために、プレゼンテーションをする機会を与えるようにしている。お客さまのニーズに沿った新商品を市場に投入していくために、社内に商品開発のプロジェクトチームを立ち上げた。チームを組むことで、それぞれが考える力を培うことができる。
-具体的な売り上げ目標は。
昨年12月期の売上高は80億3000万円で、4年連続で増収増益を達成した。水回りリフォームなどを手掛けるグループ企業の住宅工房創を合わせると85億円になった。弊社では、世界的な企業の信用格付「日本SME」で最上位のトリプルエー(aaa)を5年連続で取得した実績を持ち、安定した財務体質は、会社の強みだと思っている。当然、これからも収益(数字)にはこだわってかじ取りを担っていきたい。
具体的には、2026年度末までには、グループ会社と合わせ売上高100億円を目指す。その生命線は、年間で約200棟を手掛けている注文住宅。住宅建設業界を取り巻く状況は厳しいが、注文住宅メーカーのど真ん中に君臨する会社として、200棟の受注を維持していきたい。200棟を維持していければ、年々、請負単価は上がっており、必然的に売上は上がってくる。
-住まいのトータルコーディネートに力を注いでいます。
新築住宅の着工件数は減少傾向にあり、必然的に住宅を再生することに目を向けざるを得ない。その分野に取り組むために、専門事業部となる創建リフォームを立ち上げた。リフォームをするだけではなく、リガーデンや住宅に合わせた家具のコーディネートなども提案している。 21年には、西条インターチェンジ近くに、リフォームの施工例を体感できるショールームや、家具のセレクトショップなどを備えた施設「Ⅼ/Ⅽ(エルシー)」を開設した。ハウスメーカーから、寄り良い住環境を提案するライフスタイルカンパニーへ。これからの会社のコンセプトになる。
写真撮影:大矢直史