広島大学の馬術部(東広島市鏡山、木内啓司監督)が馬ふんの発酵堆肥を市内の農家に提供する取り組みを始めた。部員たちは「発酵堆肥で、農家の人が有機農業に目を向けるきっかけになれば」と話している。
同部では、現在、サラブレッド8頭を所有。24人の部員たちは、乗馬の練習の一方で、交代で馬の飼育を続ける。毎日大量に出る馬ふんは、これまで廃棄処分をしていたが、「何か有効活用をしよう」と、馬ふんが堆肥の原料として優れていることを知り、昨年末、厩舎(きゅうしゃ)内に馬ふん発酵処理施設を作った。
1頭が一日に排出するふんは35㌔。5カ月間をかけて、馬ふんの力だけで発酵を促していく。8頭で年間40㌧の発酵堆肥ができあがる、という。
北海道の十勝農協連に馬ふん堆肥の成分分析を依頼したところ、牛や鶏ふん堆肥と比べ炭素量が多いことが分かった。広島大学生物生産学部で土壌学を専門とする教授の話によると、炭素は有機物の指標となり、有機物が多い分、保水力に優れ、農作物を栽培する土づくりに適している、とのことだ。また、馬ふんは他の堆肥と比較して臭いが強くなく、家庭菜園にも向いている、という。
堆肥は農家に無償で提供する。将来的には、馬のえさ代を賄う協力金として、寄付が集まる仕組みも検討していくという。木内さんは「発酵堆肥の活用は、『つくる責任とつかう責任』を提示しているSDGsの理念とも合致する。持続可能な社会の構築の一助になれば」と話している。
堆肥の配布の問い合わせは木内さん(電話090(8714)7522)
(日川)