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(SAT)

落花生に着目、その思いは? 農業法人アグリ・アライアンス 脇伸哉取締役に聞く

  • 2024/07/25

国内自給率1割。広島の新しい特産品にしたい
土づくりにこだわり、焙煎加工品の商品化に成功

メルマガ240725_アグリアライアンス_脇さん
農業への想いを語る脇伸哉取締役

東広島市八本松町原の農業法人アグリ・アライアンスは独自の土づくりで注目を集め、環境に配慮した農業を実践している。近年は、東広島市の新しい特産品に、と落花生の販売・加工に力を入れる。脇伸哉取締役に農業に懸ける思いなどについて聞いた。(日川剛伸)

― 2007年に野菜栽培の専業農家にかじを切られました。

それまでは兼業の稲作農家だったのですが、収益性などを考え、祖父が亡くなったのを機に、60歳で就農した父親が野菜栽培にかじを切りました。父親は子どものときに、牛ふんの堆肥で栽培したトマトの味が忘れられなかったようで、「多くの子どもや孫世代に、本物のおいしさを味わってほしい」と思ったのが就農のきっかけになったようです。

父親は「安心して食べられる野菜づくりは、健全な土づくりから」を信念に、地下の水路である暗渠を張り巡らして水はけの良い環境を整備。さらに研究機関と共同研究を重ねながら、植物性有機発酵堆肥を通常の5倍入れ、一般的な農地の倍以上の深さのある土壌に改良しました。野菜の根が土壌酸素と栄養素を吸収できるよう配慮しながら野菜を栽培しています。16年に法人化にしたのを機に、3年後の19年私もサラリーマンをやめ、家業を継ぐことを決意しました。

― 落花生に着目されたのは。

野菜栽培にかじを切ってから、白ネギの栽培に力を入れました。白ネギに関しては、行政やJAと連携して、東広島市内に生産者を増やし、産地化を実現しました。

一方で、白ネギの連作障害で、品質の良い白ネギが育ちにくくなっていました。連作障害対策として、マメ科など別の科の野菜を栽培し土壌環境を変える必要性に迫られました。着目したのが、国内生産量が消費の1割ほどだった落花生です。18年に試験栽培をしてみると、土づくりができていたこともあり、いけるかなと。広島県の新しい特産品にしたい、と20年から本格栽培に着手しました。

― 加工・販売にも力を入れています。

アグリ・アライアンスでは大粒品種の「おおまさり」と高級品種の「半立ち」の2種の落花生を栽培。世界的にも珍しい、ビニールハウス内で1カ月半、お米のはざかけ風に天日干しをしているのが特徴で、おかげでうまみ成分が凝縮した落花生が出来上がります。

メルマガ240725_アグリアライアンス_天日干し正面
世界的にも珍しいはぜかけ風の天日干し

おおまさりは、茹でて食べるのが普通ですが、試行錯誤を重ねながら、難しいとされる焙煎に成功し、焙煎加工品として商品化しています。半立ちは、焙煎のほか、ピーナッツペーストにも加工。他のピーナッツペーストと違うのは、がんや老化を予防できるといわれるポリフェノールを豊富に含んだ薄皮を使っていることです。

加工品は弊社のECサイトや地元のマルシェ、小売店などで販売していましたが、栽培する量に比べると、販売量はまだまだ少なく、昨年5月、もっと多くの人に届けたいと商品のブランド化に取り組み、料理家の岸八千代さん、イラストレーターの福田利之さんら多くのプロフェッショナルな人の協力で新ブランド「TUTITONE」を立ち上げました。さらに今年の春からは商品を定額で毎月届ける「サブスクリプション(サブスク)」のサービスを始めました。出口戦略には今後も力を入れていくつもりです。

メルマガ240725_アグリアライアンス_商品写真
ブランド商品「TUTITONE」

― これからの思いは。

農業は、天候に左右される分、毎年、栽培に工夫を凝らしながら試行錯誤の連続。とてもチャレンジングな職業だけれど、そこに魅力も感じます。その農業のだいご味を多くの人に伝えながら、これからの時代に見合った持続可能な農業を構築し、次の世代にバトンタッチしていくことが、僕の願いですね。

落花生についていえば、秋の収穫に合わせて茹でて食べるのが本来の食し方。ただ、落花生の生産地ではない広島では、茹でて食べる文化はありません。栽培・販売を通して、茹でて食べるという食文化を広島に根付かせることができたらな、と思っています。


企業情報

アグリ・アライアンス株式会社

〒739-0151 広島県東広島市八本松町原4595-2
TEL:082-429-3733
Mail:info@agri-alliance.com
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プレスネット編集部

広島県東広島市に密着した情報を発信するフリーペーパー「ザ・ウィークリープレスネット」の編集部。

東広島の行事やイベント、グルメなどジャンルを問わず取材し、週刊で情報を届ける。

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