東広島市西条栄町に本店を置くひろしま農業協同組合(JAひろしま)の代表理事組合長に6月25日、田中義彦さん(65)が就任した。JAひろしまは、2023年4月に呉や広島中央、三原など県内9つのJAが合併し13市4町を管轄エリアとして発足。事業所は本店1、地域統括9、支店91、その他の事業所がある(2024年4月1日現在)。田中組合長に就任の思いや取り組みたいことなどをインタビューした。(山北直子)
― 組合長に就任して2カ月が経ちました。
合併によって、組合員数は約18万人、職員数は約2300人と全国でもトップクラスのJAとなった。重責をひしひしと感じている。これから、組合員や地域の人の声を聞きながら、役職員がワンチームとなって組織運営に当たっていきたい。海軍軍人で連合艦隊司令長官を務めた山本五十六の名言「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」の気持ちで取り組んでいきたい。
― 9つのJAが合併しました。難しさは。
合併して一年余り経つが、一部の事業部門で事務統一や整備が課題。本店を主体に統一を図り、事務レベルを高めて利用者満足度向上に努めたい。役職員の意識統一、地域との連携が大切であり、JAひろしまとして同じ方向に向かっていくよう旗振り役を務める。
― 大きな使命は。
販売金額を1円でも高くするなど農業者の所得の増大につながる取り組みをすること。安定した販路を確保し、農業所得の向上を目指す。東広島市には4カ所の産直市があるので、営農指導をしながら農業者の所得増大に取り組んでいる。県南部産の「恋の予感」が食味コンテストで3年連続特Aに選ばれており、さらなる消費拡大につなげたい。農業者のコスト低減の取り組みとしては、肥料・農薬の予約をすれば通常価格より約7㌫安く購入できるようしている。各事業の利用に応じてポイントが付くポイント制度などで年間約1億円の予算を計上。農業の省力化や労力削減などにも力を入れていく。組合員の目線に立ち取り組んでいきたい。
― 後継者不足が深刻です。
レモン団地やトマト団地など、JAが団地化するシステムをつくり、新規就農者や地元の後継者にのれん分けし、栽培規模を拡大するような事業に、連合会、行政と連携しながら取り組んでいく。また、婚活などの企画も検討している。夫婦が二人三脚で農業に従事できるよう手助けしていきたい。
― 有害鳥獣の対策は。
今年度から高齢化する狩猟者の後継者育成を推進するため、狩猟免許の取得にかかる費用を補助する制度をつくった。行政などに働きかけながら、地域と連携して、有害鳥獣のすみかをつくらないように取り組んでいきたい。
― 目指す方向、将来像。
農業協同組合として、農業者をはじめとした組合員のための組織として在り続ける必要がある。安全で安心な農畜産物を持続的・安定的に生産・供給できるように地域農業と生産者を支えていく。
また、これまで同様に組合員や地域住民の皆さんとの対話に力を入れ、意見や要望を事業運営に反映させていく。総合事業を通じて地域の生活インフラ機能の一翼を担い、協同の力で豊かな暮らしやすい地域社会の実現に貢献するJAを目指す。
企業情報
〒739-0015 東広島市西条栄町10番35号
TEL:082-422-9595
Mail:soumu@jahiroshima.or.jp
田中義彦さんプロフィル
三原市須波出身で1981年に三原市農協に入組。理事経済部長を経て2021年6月にJA三原組合長。23年4月にJAひろしま常務理事に就任した。