温室効果ガスの大量排出や廃棄物の増加などに伴う環境問題は、地球規模の喫緊の課題となっています。この問題を解決して、持続可能な社会を実現するために、国、企業、個人のレベルでさまざまな取り組みがなされています。こうした中、環境問題を事業の柱として取り組む新明和工業株式会社 特装車事業部 広島工場(東広島市八本松)の生産技術課長・福島昭紀さんに話を聞きました。(田坂英雄)
― 環境問題に関する取り組みについてお話しください。
広島工場の環境関連の取り組みは、3つの側面から行っています。
一つ目は、環境負荷の低減と気候変動対策として、CO2排出量とエネルギー使用量の削減に取り組み、1980年代から工場を中心に化石燃料の有効利用を進めています。2012年には省エネ法の改正により「特定事業所」に指定され、全社を挙げて省エネ活動を進めています。具体的な活動として、主要生産拠点で使用電力の約10%を再生可能エネルギー由来の電力に切り替えるなどしています。
廃棄物削減と循環型社会への移行については、3Rに加えてリフューズの概念を取り入れ、廃棄物削減とリサイクルを推進しています。2030年度までに廃棄物総排出量10%削減、再資源化率99%以上を目標としています。
水資源保護と水使用量の削減は浄水工程でのエネルギー削減にもつながるため、工場では水の使用量と排水量の両面で適正管理を行っています。
汚染物質排出量の削減への取り組みとして、工場から排出される物質について、法規制よりも厳しい自主規制値を設定し、環境負荷低減に努めています。
二つ目は、環境配慮型製品・サービスの提供として、省エネ・低炭素製品の開発・販売に力を入れています。例えば、環境問題解決に貢献する特装車やサービスを提供するなど、環境負荷低減への取り組みを行っています。
三つ目は、環境マネジメント体制の強化です。広島工場では、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001の認証取得を推進し、環境保全に関する継続的改善を図っています。
― 特装車事業の中でも、広島工場が環境問題解決に貢献する特装車やサービスとはどのようなものかお聞かせください。
主力製品の一つに、圧縮式塵芥車「G-PX」と回転板式塵芥車「G-RX」があります。両製品は廃棄物を収集・運搬する車両で、同製品を用いた効率的な廃棄物収集により、CO2排出量削減を目指しています。また、特装車業界初のサブスクリプションサービス「G-SUB」も提供しています。「G-SUB」を利用するお客様は、車両を購入することなく、必要な期間、毎月決まった金額を支払うことで特装車を利用することができます。このサービスを活用していただくことで、余剰車両の保有を防げるため、資源の効率的な利用を促進します。契約費用には定期メンテナンスサービスなどの諸経費も含まれており、車両の長寿命化にも貢献しています。
これらの車両やサービスを通じて、廃棄物処理の効率化、資源の有効活用、車両の長寿命化などを促進し、環境問題の軽減に貢献していきたいと考えております。
― それらの車両は広島県や東広島市でも稼働していると思います。その状況をお聞かせください。
広島工場が中心となって製造しているごみ収集車(塵芥車)は、広島県内では8割近いシェアを誇っており、市の廃棄物削減の取り組みに賛同し、市民の皆さんを対象とした啓蒙活動も行っております。
― 最後に、今後、環境問題の解決から持続可能な社会へ、どのように進めていくか、お聞かせください。
わたしたちの取り組みは、中長期にわたる、地道で骨の折れるものですが、各現場での日々の業務を通じて、CO2削減率をはじめとする環境負荷軽減に寄与する取り組みを強化しております。
こうした地道な活動が、持続可能な社会を実現する一助になると考えております。
企業情報
〒739-0147 広島県東広島市八本松西7-1-13
TEL:082-428-8000
東証プライム市場上場企業。インフラの整備・維持に貢献する製品・サービスを提供。工場は、新明和グループ全体で、国内に17カ所、海外に9カ所 従業員数は、単体で3,264名、連結で6,453名(2024年3月末時点)
特装車事業部 広島工場では、約640人の従業員(協力企業含む)により、塵芥車を中心とした環境車両を製造。