東広島市が広島大と連携して共同開発したブランド地鶏「東広島こい地鶏」。2018年度から開発に着手したが、現在も本格販売ができないでいる。東広島市議会の今年3月の定例会でも、東広島こい地鶏のことが大きく議題に取り上げられた。東広島市が描く今後の販売戦略をまとめ、家業が養鶏だった北林光昭市議が提言した。(日川)
目次
市が投じた税金
これまで
・研究開発や生産設備整備などに…約9000万円
24年度当初予算では
・種鶏場の経営安定、東広島こい地鶏協議会の運営費などに… 1575万円
・販路拡大に向けたPR費用や 飲食店展開の費用などに…………640万円
なんとかしたいから… 議員の質問相次ぐ
3月定例市議会・予算特別委員会
市の見解
生産、流通の安定が不可欠(川口一成副市長)
G7サミットで首脳が食されたことで、世界的に発信がされ、ある意味、プロモーション的には成功したのではないか。
課題は、まだ流通ルートに乗っていないということ。名前は知っているが、店では食べられないではないかと。ビジネスベースに乗せ、いかに安定的な生産をして流通に乗せていくかが課題で、その運営部分をしっかり支援していくことが、現在の市の方向性と考えている。
(高級路線でいくのか、安く売っていくのかという)価格の部分については、生産、流通を安定化させた上でのその次の課題であると考えている。
プレスネット的ワンポント主張
東広島こい地鶏は、コロナ禍で苦しんだ飲食店の復興や地産地消のカギとなる逸品。そうなるためには、市民の間で話題に上り、食され愛されることが不可欠だ。
現在、東広島こい地鶏が味わえる店
(東広島市内、五十音順)
担々麺専門店 鳳(おおとり)
(八本松南)
「東広島こい地鶏中華そば」(1180円)
石庭
(高屋町高屋堀、仙石庭園内)
「石庭地鶏親子丼膳」(1500円)
「石庭地鶏カレー膳」(1500円)
「石庭地鶏うどん御膳」(1500円)
「石庭地鶏そば御膳」(1500円)
ちゅうしん蔵
(西条本町)
「こいチャン焼き」(6600円、4~5人)
東広島こい地鶏の半身焼きです。
なんでやねん
(西条中央)
「こい地鶏のすき焼き」(1800円)
鶏ガラでだしをとった専用の割り下でたいたこい地鶏は、やわらかくておいしいと好評。予約が確実。
旬彩希味
(西条本町)
「こい地鶏コース」(6000円、税別)
こい地鶏の生ハムサラダやクリーム煮、つくね鍋などが食べられるコースです。
「こい地鶏塩焼」「こい地鶏西京焼」など(時価)
憩いの料亭 白竜湖
(西条岡町)
「歓送迎会プラン」(6500円)
こい地鶏が食べられる鍋があるコースです。8500円以上のコースでは食べられません。
ビストロパパ市役所店
(西条栄町)
「東広島こい地鶏セット」(1600円)
むね肉とささみは和風仕立て。もも肉はマスタードチーズ焼き。
炭焼炉端ふじやま
(西条岡町)
「ふじやま特製 こい地鶏のミックス焼き」(1600円、2~3人前)
鶏むね、鶏もも、手羽、砂ずり、ささみを一度に楽しめる一品
販売戦略の可能性、広がるばかり
養鶏に詳しい 北林 光昭市議が提言
東広島こい地鶏は3年の開発期間の後、2021年3月に誕生しました。これは、広島大学と本市産業部が事務局を担当する東広島ブランド地鶏開発振興協議会の共同研究の成果です。しかし、生産と流通体制の整備に手間取っている間、新たな地鶏が誕生したという話題性は、大きく後退することになりました。加えて、昨年春、広島で開かれたG7サミットで、メインディッシュの食材の一つに採用されるという幸運もありながら、そのことを販売戦略に生かすことなく、今に至っています。
私は、家業が養鶏であったことから、生き物を飼うことや販路を切り開くことの大変さについては、よく分かっているつもりです。
採卵鶏、ブロイラーそして卵をひよこにする孵卵(ふらん)も経験しています。だからこそ、せっかくのブランド地鶏を地元で気軽に味わうことができないことに、不自然さを感じます。
地元のスーパーに「東広島こい地鶏」のコーナーを作ってもらい、まずはたくさんの人に食べていただく機会を作ることが、第一ではないでしょうか。その評価を足掛かりとして、こい地鶏レシピコンテストを開催し、食材としての魅力発信を図る。もちろん、プロの料理人のレシピも紹介する。
さらには、地元飲食店の協力を得て、多くの皆さまにおいしく食べていただく機会を増やしていくことなど、地元を中心とした戦略の可能性は広がるばかりです。
ともすれば、手間ひまかけた高級地鶏だから、大都市の高級ホテルや料理店で採用され、高級な食材という評価を確立したくなります。
しかし、地鶏の代名詞である名古屋コーチンでさえ、気軽に楽しめる焼き鳥メニューがWEBサイトに出ています。販売戦略はまず地元、それも庶民の好みを反映したものにすべきです。「良いものは売れる」かも知れませんが、「良いものも売れる」と発想の転換が図られるべきです。
廉価で庶民に喜ばれるものこそ、皆さんに愛される「こい地鶏」だと思います。