
東広島市立福富小・中学校(同市福富町下竹仁、中谷成男校長)は3月11日、ミコシギク講演会を同校で開き、中学校の生徒らや福富のミコシギクを守る会員ら約50人が参加した。2024年度広島大学地域の元気応援プロジェクトの一環。
同校は、同町に生息する絶滅危惧種に指定されているミコシギクの保全活動に取り組んでいる団体と交流し、取り組みを報告し合うことで保全活動を推進しようと企画。中谷校長は「他の地域と交流することで学びを深め、より良い取り組みにつなげてほしい」とあいさつ。
講師は、豊橋市文化財センター(愛知県)の学芸員でミコシギクの保全活動をしている贄元洋さんが務め「三太郎池湿地のミコシギクと葦毛(いもう)湿原大規模植生回復作業」をテーマに講演。同作業の方法と課題、成果を具体的に話し「多様な考え方の人たちが集える場所として活用しながら保全し、楽しい場を一緒につくっていくのが基本的なやり方」と強調した。福富中の生徒5人が「ミコシギク~東広島市福富町の貴重な生命~」をテーマに、保全活動の取り組み、広島大4年の稲葉啓斗さんが「広島大学におけるミコシギクの保全に向けた研究」についてそれぞれ報告した。同中2年の大久保苺菜さんは「ミコシギクを広めたり本数を増やしたりするためにできることが多くあると感じた。地域外の保全活動をしている人と交流できて良かった」と話していた。

同中のミコシギク保全活動の始まりは、2019年。当時の生徒らが社会見学で広島大(同市鏡山)を訪れ、職員から福富町には希少な植物があることを聞き初めてミコシギクの存在を知った。調査を始めた20年度には、ミコシギクの花、3輪を確認。21年度からは、同中の生徒らが総合的な学習の一環で保全・調査活動に参加し、広島大の研究者や地元住民でつくる福富のミコシギクを守る会とともに取り組みながら、地域との愛着を育んでいる。 (山北)