日刊工業新聞電子版は10月20日、米国半導体大手のマイクロン・テクノロジーがパソコンなどに使われる半導体記憶装置のDRAM(ディーラム)の新工場を、子会社のマイクロンメモリジャパン合同会社の本社がある東広島市吉川工業団地内の広島工場に建設すると報じた。情報源は示されていない。(日川)
報道によると、マイクロンは周辺に土地を取得し、2024年までに稼働する計画。総投資額は最大で8000億円に上る見込みで、工場新設による雇用創出効果は協力会社を含めて2000~3000人規模と予想されている。デジタル化の進展などに伴う半導体戦略の重要性を視野に、日本政府も補助金などで一部支援する可能性があるという。
広島工場は、DRAMを主力製品として開発。19年には、自動運転車や人工知能(AI)に不可欠な次世代DRAMを量産するため新棟を建設。今年2月には、マイクロンメモリジャパン合同会社の本社を東京都から東広島市に移し、名実ともに東広島の会社になった。
今回の報道について、マイクロンの広報では「憶測やうわさに対するコメントは差し控えたい。マイクロンでは、10月20日に発表したように、今後10年の間に、世界全体で1500億㌦以上を最先端のメモリ製造と研究開発に投資する予定。現在、世界のいくつかの国で立地を検討し、政府との協議を進めている。現時点ではいかなる拡大のための投資も確定には至っていない」とコメント。
東広島市の多田稔副市長は「市が、広島工場周辺の地権者との交渉に協力しているのは事実だが、投資規模や稼働時期などについては、まったく把握していない。ただ、今回の報道が事実なら、市にとっては、うれしい限りだ。市に及ぼす経済効果は計り知れない」としている。
仮に報道の通りなら、東広島の未来が変わるほどの大きな経済効果。八本松の土地が高騰する程度の話ではなく、雇用、税収、インフラ、全てにインパクトを与える話。
対中関係など国際情勢が不透明になる中、台湾と比べて中国から距離のある東広島市の広島工場に対する大規模投資は十分起こり得るシナリオと考える。
セールスシード(東広島市八本松)代表 菅生一郎
半導体は、条件によって電気を通したり通さなかったりする中間の性質を備えた物質。実はこの性質が電化製品を制御する上で重要な役割を果たしている。
例えば、炊飯器でご飯がおいしく炊けるのは半導体で電気をコントロールしているから。また、通信などの社会インフラシステムの機器制御でも半導体は欠かせない。
今や、私たちの生活は半導体なしでは成り立たない状態だが、さらに重要度は高まりそう。全てのモノがインターネットでつながる「Iot」や、AI、電気自動車など、もはや半導体なくして未来の生活は語れない時代になる。
※2021年10月22日に追記、更新しました(東広島デジタル編集部)