美術界最高峰の日展・書部門で昨年、北原白秋の詩文を書いた「澪の雨」が特選に輝いた。応募作品1万426点のうち、特選はわずか10点。これまで9年連続入選で「毎年入選」を目標にしてきた金谷さん。思いがけない特選に「手が震えるくらい驚いた」。
大学卒業後、高校の教員をしながら毎年欠かさず日展へ応募。16年連続の落選で、入選する仲間に対するあせりの中、こつこつと書の研究と練習を積み重ねる。そして17年目で初入選。薄っぺらの落選通知と違い、厚さ1㎜の通知の封筒を受け取ったとき「やっとスタートラインに立てた」と感激した。
5年前に退職し、現在、東広島市や呉市など8カ所の教室で子どもから大人までを指導。一方で、東広島市文化連盟黒瀬支部の会員、東広島市美術展の運営委員を務めるなどして、地元住民や市の美術性を伸ばす活動にも力を入れている。
「書道の楽しみを伝えていきたい」と生徒たちの作品を見つめる。 (橋本)