休耕田など農地の荒廃を食い止めようと、草をはむ牛を放つ取り組みが広がっている=写真。既存の団体と法人が10頭を所有しているのに加え、今年度は新たに東広島市豊栄町で2件、福富町で1件、個人では志和町で1件の導入。計約3.6aで10頭が放牧されている。
国が本年度からモデル事業とした農業戸別所得補償制度が増加の要因としてあげられる。休耕田に家畜飼料用のヒエなどを作付けると10a当たり3万5000円の補償が受けられる。
県西部畜産事務所が行う牛の無償レンタルも要因の一つ。農家と牛を貸し出す畜産業者との仲立ちをし、放牧する農地の周囲を囲む電気柵の貸し出しにも当たっている。
昨年11月から放牧を始めた豊栄町の農事組合法人ファーム西能良では、休耕田1.2aに4頭を放し飼い。「農家は草との戦い。放牧は得策で、今後も継続していきたい」と栗原信明代表理事(70)は話している。
放牧は繁殖牛に限られ牛にとって環境が良いことから、同事務所では「良質なひろしま牛の生産につながるのでは」と期待を寄せている。(信藤)