「研究者の一人としてバイオテクノロジーでアスベスト(石綿)を検出することができないかと考えたのが開発のきっかけ」と話すのは、検査システム開発のシリコンバイオ(東広島市)の黒田章夫取締役。建材に含まれるアスベストの検出キットを販売している。
黒田さんは広島大学大学院先端物質科学研究科の教授でもあり、研究の延長でこの問題の役に立てると確信した。「大学内で研究するだけではだめ。世の中に出して初めて意味がある」と起業。
通常1週間程度かかる検査期間を最短30分で検出できる。しかし、実績が少ないことやX線・電子顕微鏡で分析する科学検査が主流でまだまだ認知されていない。企業や自治体に周知していくことが今後の課題。
「東日本大震災の被災地にも研究員を送り倒壊した建物の撤去時などで実践している」という。「科学的検査は通常2万円程度かかるが、バイオ検査だと1回4000円程度でできる。建物でアスベストが使用されているか調べたい企業などは問い合わせしてほしい」と話している。(待田)