目的や場所に合わせて空間を演出する「彩(いろどり)作家」の沖川初美さん(54)。ホテルのロビー装飾、講演会会場の舞台装飾などの会場を自然の素材を使って彩る。
長女が小学校のとき、学校で行われた作品展を季節の花を使って演出したのがこの活動のはじまり。「図面を書くのは苦手」と笑いながらも「作品を作り上げるまでには一つの物語がある」という。作業の日までは材料を集め、「会場をどう生かすか」を考えたりする。ときには寝ずに考えることも。
大きな作品に取り組むときもスタッフを雇っておらず、普段はそれぞれの仕事をしている人たちが好意で集まり、作品づくりを楽しむ。「わたしの思いをみなさんがくんで動いてくださる」と感謝の言葉。
その場でイメージをふくらませ空間を作り上げる沖川さんと、その魅力に引き付けられた人の持つパワーが融合し、作品を素晴らしくさせる。
作品は空間にとけ込みながらも、会場や主人公を引き立たせ、感動を生む。
「その日そのときに集まった材料や出会いで、出来上がる作品は二度とできないたった一度きりのもの。一期一会の感動をこれからも大切にしたい」とほほえむ。(門本)