広島大学大学院生物圏科学研究科の上真一教授(62)は7月13日、クラゲ類の大量発生の研究で総理大臣の第5回海洋立国推進功労者として表彰された。
エチゼンクラゲの大量発生は約40年に一度の周期で起こり、海洋生物学の専門家ですら実際に目にする機会はなかった。このためサンプルもほとんどなく、研究は進んでいなかった。2003年ごろから急激に大量発生し、多くのサンプルを採取。同時に漁業関係者からの被害報告も相次ぎ、上教授はエチゼンクラゲの研究を始めた。
前に大量発生の有無とクラゲの来襲量の大まかな予測が可能であることを明確にした。研究の結果、これによって無防備だったエチゼンクラゲの大量発生に対する事前の対策が可能となり、漁業被害を最小限に抑えることができるようになった。2009年度の推定被害額は2005年度の約300億円の3分の1にまで減少した。
上教授は「これからも研究を重ね、1日でも早く魚が元気に泳いで観光業や水産業が栄える豊かな里海に戻したい」とクラゲ研究に取り組んでいる。(國藤)